エコカー補助 駆け込み需要見られず

 政府のエコカー補助金が終わりそうで終わらない。現段階で駆け込み需要は殺到しておらず、7月にも底を突くとみられた自家用車向け予算は、9月まで持つ可能性も出てきた。買い替えが進んだことに加え、2010年秋終了の前回より、補助額が下がったことなどが背景にありそうだ。販売現場では予算切れを想定した実質的な割引サービスを白紙に戻す動きも起きている。
 「補助金の消化がもっと早いペースで進むと思っていたが…」と、東北の販売各社は口をそろえる。
 補助金のうち、自家用車向けの予算額は2747億円。申請を受け付ける次世代自動車振興センター(東京)によると、20日現在の申請額は約2397億円で、約350億円残っている。
 受け付けを始めた4月からの1週間ごとの申請額推移はグラフの通り。今月17日までの1週間は27億円。お盆直前の週(68億円)のペースが続くとしても、補助金が底を突くのは9月中旬以降になる。
 この状況について経済産業省は「明確な理由は分からないが、販売会社からは『買い替えが一巡した』との声も出ている」と説明。仙台トヨペット(仙台市)の担当者は「乗用車の補助額が前回の最大25万円から10万円に下がったことも影響している」と指摘する。
 富士重工業など一部メーカーは、補助終了までに購入しても申請が間に合わない顧客向けに、補助額と同額の現金を戻すキャンペーンを展開。独自に同様の取り組みを準備する販売会社もある。
 だが、駆け込み需要のない現状に対応を見直すケースも。ホンダカーズ福島(郡山市)は7月に顧客救済のための独自予算を準備したが、いったん白紙に戻した。幹部は「実施するかどうかは補助残額の状況を見て検討したい」と語る。
 それでも東北の新車販売は前年を上回る状況が続いており、補助金効果は大きい。
 岩手日産(盛岡市)の担当者は「東日本大震災による被災車両の買い替え需要も一服感が出ている。需要の谷間は必ず来る」と補助金終了を警戒。その後については「新型のハイブリッド車などをアピールしていきたい」と話す。
 仙台トヨペットの幹部も「補助金終了に伴う反動を何とか小さくしたい。各販売拠点単位で行うキャンペーンに力を入れていく」と強調する。
[エコカー補助金] 一定の燃費基準を達成した新車購入に対する補助制度。今回は2011年12月以降の登録車を対象に、12年4月から申請を受け付けている。補助額は乗用車10万円、軽自動車7万円。トラックなど事業用車両向けは7月5日で受け付けを終えた。前回は09年6月に始まり10年9月で終了。終了直前の申請額は1日だけで100億円を超えた。

タイトルとURLをコピーしました