【AFP=時事】アフリカ東部エチオピアで、バッタが大量発生し、20万ヘクタールに及ぶ農地が被害を受け、およそ100万人が緊急食糧援助を必要とする事態となっている。国連(UN)が13日、発表した。
何十億匹も大量発生しているのは、サバクトビバッタ。その大群は、ロシアの首都モスクワほどの面積を覆い尽くすこともある。エチオピアをはじめ、ソマリア、ケニア、ジブチ、エリトリア、タンザニア、スーダン、南スーダン、ウガンダなど、すでにアフリカ東部の大部分に被害をもたらしている。
大量発生の要因としては、同域の雨期の降水量が過去40年で最多レベルだったことが挙げられる。
国連食糧農業機関(FAO)によると、エチオピアではモロコシ、小麦、トウモロコシなどの作物が広範囲で被害を受け、牛の牧草地も激減した。
バッタの大量発生は規模がさらに拡大する恐れがある。FAOは先週、東アフリカにおけるバッタの大群の「急増」は今後の植え付け期と収穫期を危険にさらし、「食糧安保と人々の生活を前例のない規模で脅かす」可能性があると警告している。
エチオピア国民のうち、食糧支援を必要とする人々のおよそ75%は、ソマリ(Somali)州とオロミア(Oromia)州に集中。
FAOエチオピア支部のファトゥマ・セイード(Fatouma Seid)代表は、農家や牧畜業者は今回の緊急事態を乗り切るため、農業投入財と現金給付という形での援助を必要としていると訴えている。
この緊急事態は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、さらに深刻化している。
エチオピアで確認された感染者数はわずか74人だが、検査数そのものが限られている。専門家らは、他の東アフリカ諸国同様、エチオピアの脆弱(ぜいじゃく)な医療制度は感染者の増加によりたちまち崩壊しかねないと懸念を示している。