エルニーニョ現象 6月までに発生か

気象庁は12日、この夏に5年ぶりにエルニーニョ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高いとの見通しを、エルニーニョ監視速報で発表。夏にエルニーニョ現象が発生すると、日本付近では太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、梅雨明けが遅く、冷夏・多雨・日照不足になる傾向があります。
気象庁資料を参考に作成
気象庁資料を参考に作成
■エルニーニョ監視海域(南米ペルー沖)の海面水温が基準値より上昇
気象庁の発表によりますと、4月は太平洋赤道域東部のエルニーニョ監視海域の海面水温が、基準値より0.3℃高くなり、これから夏にかけてさらに上昇することが予測されるとのことです。
エルニーニョ予測モデルの予測結果では、70%の確率で6月までにエルニーニョ現象が発生すると計算されています。
※エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。エルニーニョ現象が発生すると、太平洋赤道域の東部の海面水温が上昇する一方で、太平洋熱帯域の西部では海面水温が低下して対流活動が不活発になります。このため、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱くなり、日本の夏の天候は低温、多雨、日照不足になる傾向があります。
◆夏の天候 2009年日照不足、2002年北冷西暑、1997年盛夏に天候不順
前回、エルニーニョ現象が発生した2009年の夏は北・東・西日本は日照不足となりました。多くの地域で梅雨明けが遅れ、九州北部と近畿、東海は梅雨明けが8月にずれこみ、中国、北陸、東北地方は梅雨明けが特定できませんでした。
2002年の夏は、北海道は冷夏となった一方で、東北以南は平年並みに梅雨明けし、西日本などでは猛暑になりました。猛暑日や真夏日の日数は平年を上回った所が多く、大阪では昨年(2013年)並みの多さでした。
1997年の夏は、梅雨の時期は高温傾向だったものの、盛夏の時期に台風や熱帯低気圧、オホーツク海高気圧などの影響で、晴天が続かず天候不順でした。
エルニーニョ現象発生の発表と定義
「エルニーニョ監視速報」では、エルニーニョ監視海域の海面水温が5か月間平均して基準値より0.5℃以上高くなった場合に、速報として「エルニーニョ現象が発生」と発表します。ただし、「エルニーニョ現象」の定義は、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が、6か月以上続けて+0.5℃以上であるため、確定するのは半年後になります。
エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、日本の天候に大きく影響するとみられることから、気象庁は熱帯域の海洋変動を監視し、毎月1回、10日頃にその状況を発表しています。

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