カキ産地再生へ号砲 宮城産15日に出荷開始

今シーズンの宮城県産の生食用カキの出荷が15日に始まる。東日本大震災で被災した養殖施設や処理場の復旧は途上で、生産量は震災前の4分の1以下と見込まれる。加えて猛暑の影響で出荷開始が例年より遅れ、厳しいスタートとなるが、関係者は「宮城のカキを再び市場に売り込みたい」と産地の再生を目指している。
 県漁協によると、今季のカキ生産量は約930トンの見込み。約320トンにとどまった昨季の3倍近いが、震災前は4000~4500トンだった。生産者は約360人で震災前の4割程度。従来カキを扱っていた19支所のうち、12支所が出荷を予定している。 県内に約120カ所あったカキ処理場は大半が被災し、県漁協が再建を進めている。出荷時期が終わる来年3月までに、完成予定を含め36カ所が使用可能となる見通しだが、工事が遅れる可能性もあるという。再開した養殖のカキが育っていても処理場がないため、生食用に出荷できない浜もあるのが実情だ。
 海水温の高い状態が続き実入りが不十分だったことから、例年は9月29日の出荷解禁も2週間余り延期された。暑さと小雨で松島湾のカキが大量死した影響も懸念されている。
 震災前、宮城県は全国2位のカキ生産量を誇った。昨季は量販店などに安定供給できず、福島第1原発事故による風評被害も受けた。仲買業者は「広島県や岡山県、兵庫県など他の産地にシェアを奪われた」と嘆く。
 宮城県漁協の菊地伸悦会長は「量が少なければ、それだけ価値が増して売れるというわけではなく、昨季は流通の厳しさを思い知った。宮城のカキのブランド回復に向け、PRを強化したい」と話した。

タイトルとURLをコピーしました