カジノ法案、今国会成立は微妙 2020年開業に黄信号も

■公明と調整つかず遅れる再提出

2020年東京五輪までのカジノ開業に向け、超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)が成立を急ぐ統合型リゾート施設 (IR)整備推進法案の国会再提出が遅れている。当初、3月末までの再提出を目指したが、難色を示す公明党と調整がつかないためだ。今国会は政府提出の重 要法案が立て込んでおり、今国会での成立も微妙になりつつある。

「党の関係部会で検討するのが最初だ。いつ結論を出すかは議論になっていない」。公明党の漆原良夫中央幹事会長は16日の記者会見で、IR法案への対応について党として結論を急がない考えを示した。

IRは民間事業者によるギャンブルを法的に認めることになる上、ギャンブル依存症患者の増加が懸念され、一部メディアの世論調査ではカジノ合法化への反 対が賛成を大きく上回る。統一地方選まっただ中だけに、公明党にとってIR法案の提出はできるだけ先送りしたいのが本音だ。

ただ、今国会で成立させられなければ、2020年のカジノ開業には“黄信号”がともる。不正行為防止策やギャンブル依存症対策などを盛り込んだ「実施法」策定や、立地の選定、計画立案などの作業に5年は必要とされるためだ。

公明党抜きでも、賛意を示す維新、次世代の2党と自民党がIR法案を提出すれば、数の上では衆参両院で可決できる。ただ、その場合でも国会審議がスムーズに進むとはかぎらない。

IR整備の検討チームが内閣官房に設置されているため、IR法案は衆院内閣委員会で審議する運びとなる。内閣委は女性活躍推進法案や個人情報保護法案など政府提出の重要法案を抱えており、IR法案は後回しになる可能性が高い。

もっとも、自民党も「内憂」を抱えている。参院自民党が15日に開いた政策審議会の勉強会では、IRをめぐり「カジノをやればもうかるという錯覚が広がっている」「収益も上がらず、社会的な問題だけが残る」と慎重な議論を求める意見が続出した。

「公明党が認めてくれるなら、法案の内容でどこまでも妥協していい」

自民党幹部からはそんな声も漏れ始めているが、党内にも慎重論が広がる中では法案の成立は見通せない。(力武崇樹)

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