カッパ夫婦?南三陸へ新婚旅行計画

 山形県庄内町の「太郎」と遠野市の「花子」のカッパ夫婦が、宮城県南三陸町で甘ーいハネムーンを満喫するそうな-。民話の語り手として知られる庄内町の農業長南一美さん(76)が11日、自作のカッパ像とともに東日本大震災の被災地を巡るユニークな旅を予定している。長南さんは「ユーモラスなカッパで南三陸の人たちを喜ばせたい」と張り切っている。
 庄内町内を流れる最上川支流にはカッパの「平吉」が住む伝承がある。2009年にカッパ淵(ぶち)で有名な遠野市観光協会の協力を得て、遠野から嫁を迎えた設定で、長南さんが平吉夫婦と息子の太郎の像を制作し町内の公園に飾った。
 平吉が「陸に上がりたい」「嫁さんがほしい」と夢に出てきたのが制作のきっかけ。親交のある遠野市の知人に話すと、とんとん拍子に縁談が進んだという。
 昨年夏に遠野を訪問すると「そろそろ太郎にもお嫁さんを」と勧められた。今度も遠野生まれの花子を迎えることになり、ことし9月27日に新たにカッパ若夫婦の像を公開した。
 長南さんは震災後の12年から南三陸町の仮設住宅を訪問し、昔話を語るボランティアを続けてきた。太郎の結婚話が持ち上がったときから、完成したら南三陸の人たちにカッパ夫婦を見せたいとの思いを抱いていた。
 太郎と花子の像は、軽量セメント製で高さ60センチ。新婚らしく太郎は胸に花を着け、花子はベールをかぶる。軽ワゴン車の後部荷台に金びょうぶを取り付けて2匹を並べ、訪問先で披露する。手作りのカッパ開運証も用意し、見物人に贈る。
 11日午前8時ごろに南三陸町に到着する予定で、「平成の森団地」や泊浜地区などの仮設住宅を回る。途中の道の駅でも車を止め、多くの人に見てもらう予定という。
 長南さんは「特に子どもたちに見てもらい、少しでも喜んでくれればうれしい。庄内から南三陸までの道中でも多くの人に新婚の喜びを分けたい」と話している。

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