カツオ水揚げ、気仙沼港が26年連続日本一

宮城県気仙沼市の気仙沼港の生鮮カツオの今季の一本釣りと巻き網を合わせた水揚げ量が12日時点で8388トンとなり、26年連続の日本一達成が確実な見通しとなった。漁期終盤まで他港と競り合う異例の展開だったが、僅差で首位の座を守った。しかし、数量は昨年の3割弱にすぎず、37年ぶりに1万トンを割る低水準になった。

勝浦港と93トン差

 漁業情報サービスセンター(東京)によると、2位の勝浦港(千葉県)の水揚げ量は8295トンで、気仙沼との差は93トン。夏場の水揚げ1日分ほどの違いで両港ともほぼ漁が終了した。3位鹿児島港は7892トンで現在も漁が続くが、気仙沼との約500トンの差は埋まらない模様だ。

 気仙沼港は6月の初水揚げ直後は好調だったが、本来最盛期の夏場に低迷。9月に入り先行する勝浦から辛うじてトップを奪い、そのままわずかなリードを守り切った。

 水揚げ量が拮抗(きっこう)した要因について、同センターは全国的に水揚げ量が少なかった上、夏場の漁場が例年の三陸沖より南寄りに形成されたと分析。燃油高騰もあり、漁場に近い港に水揚げが分散したとみられる。

 気仙沼の水揚げ量は豊漁だった昨季(3万2807トン)の約25%で、1万トンを割り込むのは1985年の7192トン以来。水揚げ額も、昨年同期比27億4687万円減の37億2005万円と落ち込んだ。

 気仙沼魚市場を運営する気仙沼漁協の斎藤徹夫組合長(67)は「カツオ水揚げ日本一のブランドを守ることができ、まずはほっとしている。ただ、数量の激減はよもやの事態。海の変化は読めないが、今後も漁船誘致に努めたい」と話した。

水産会社「夏の仕事すっぽり抜けた」

 気仙沼市の気仙沼港は今季も生鮮カツオの水揚げ量日本一を維持したものの、数量は1万トンを下回った。豊漁だった昨年から一転、地元水産業を支える「大黒柱」の思わぬ不振に関係者は動揺している。

 水産加工会社「阿部長商店」の阿部泰浩社長(59)は「夏の仕事がすっぽり抜けた」と嘆く。最も扱いの多いカツオを軸にした売り上げ計画が狂い、「東日本大震災後もずっとカツオに支えられてきたのだが」と表情を曇らせる。

 市内では製氷や冷凍工場、運送といった多様な業種がカツオの水揚げに売り上げを左右される。岡本製氷冷凍工場の岡本寛社長(71)は「去年の反動で落胆が大きい。サンマも不振が続き、カツオとサンマで数万トンというかつての計算が立たない。来季はどの程度人員や設備を用意すればいいのか」と頭を抱えた。

 市魚市場の1~11月の魚種全体の水揚げ量は、前年同期比2万8603トン(40.2%)減の4万2384トン、金額は42億1700万円(24.5%)減の129億5602万円。生鮮カツオに加え、カツオ一本釣り船が漁獲するビンチョウマグロの激減が数字を押し下げている。

 気仙沼漁協の臼井靖参事(58)は「毎年、産業の中心を担うカツオが伸び悩むのは異例。今年だけの一過性だといいが」と不安げに語る。

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