カニ伝説 語り継いで10年目 仙台・太白区東中田の住民グループ

小中学生に協力、映像作品4月公開

 カニを巡る伝説がある観音堂の存在など、仙台市太白区東中田地区の歴史や文化を学び伝える住民グループ「かにっこ語りの会」の活動が10年目に入った。地元の小中学生らによる歴史遺産の映像化にも協力し、発信に努める。4月には観音堂を取り上げた新しい映像作品が公開される。

 「ある時、降り続いた大雨による大洪水で、お堂の中の観音様も流されてしまいました。でも、たくさんのカニたちが観音様に群がって流されていくのを防いだそうです。この恩を忘れないように、カニを食べない人もいるそうです」

 9日、東中田市民センターの一室に、小中学生のナレーションが響いた。モニターには、名取川と広瀬川の合流点近くにある伝説の舞台、落合観音堂が映し出された。子どもたちの取材に応じた語りの会への映像作品のお披露目会。メンバーはマイクに向かって話す自分たちの姿を恥ずかしそうに見詰めた。

 会の結成は2013年10月。地域の伝説を語り継ごうというセンターの講座に、メンバー数人が参加したことがきっかけだった。地元の文化遺産の歴史や風習を学ぶうち、古文書をひもとくほどのめり込み、活動も小学校での講話や歴史スポットでのガイドなど幅を広げていった。

 21年度からは地域の子どもたちによる映像化事業に協力する。落合観音堂の伝説もその一環だった。会も紙芝居を製作して発表するなど、地域の伝承を分かりやすく解説する活動を続ける。

 新型コロナウイルス禍で対面の活動には制限があるものの、大原尚子代表は「コロナが収束したら学校などにも出向き、子どもはもちろん大人にも地域の歴史を伝えたい」と意気込む。

 落合観音堂の伝説を取り上げた映像作品はDVDに収録された。4月以降は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも視聴できる。連絡先は東中田市民センター022(242)1185。

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