臭いが強烈なカメムシが、収穫最盛期の梨やお米に被害をもたらしています。今年は大量発生しており、農家に向けた注意喚起の“カメムシ注意報”が35都道府県で出されています。
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夏から実りの秋へと移り変わる今、千葉県白井市にある「橋本梨園」では、梨の収穫の最盛期を迎えています。
しかし――
橋本梨園 橋本哲弥さん
「うーん…」
頭を悩ませるその理由は、カメムシです。
橋本梨園 橋本哲弥さん
「へこんでいる部分が、カメムシの被害です」
被害にあった梨は、カメムシに果汁を吸われたことで表面がでこぼこになり、“シャリシャリ食感”もなくなってしまうといいます。
橋本梨園 橋本哲弥さん
「こんなに被害を受けたのは初めてなので、絶望的な気持ちにはなりましたよね」
約4トンの梨が、廃棄になってしまうかもしれない危機だといいます。ただ、被害にあった部分を取り除けばみずみずしい食感や味を楽しめるため――
青果店
「3ケース持って行って、全部売れたんですよ」
“わけあり”のお買い得品として販売してもらうなど、取引先の青果店に協力してもらい、販売につなげているということです。
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今年は梅雨の前から気温が高く、雨が少なかったため、カメムシが大量発生(※)。35都道府県で、農家に向けた注意喚起の“カメムシ注意報”が出されました。(21日時点)
神奈川県川崎市にある「川名梨園」でも、100個以上の梨が被害にあっています。
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カメムシが狙うのは果物だけでなく、収穫の最盛期を迎えているお米にも被害が出ています。カメムシの被害にあった米は、中の栄養を吸い取られ、雑菌が入ったりすることにより、一部が黒く変色してしまうといいます。米としての品質が下がり、価格も下がってしまうということです。
愛知県豊川市の田んぼでも、カメムシが発生していました。対策に欠かせないのが農薬ですが――
農家
「殺虫剤を手でまくと、行ったり来たり、行ったり来たり、大変です」
カメムシ対策の農薬散布が、高齢化する農家の負担となっています。
そこで、試験的に導入したのがドローンです。わずか5分で作業を終えることができるといいます。
ユタカドローンスクール管理者 藤原康正さん
「まさか、こんなに必要とされるとは思ってなかったですけど」
人の手を焼く厄介者のカメムシ。9月いっぱいはまだまだ活発に動くということで(※)、今後も注意が必要です。
※害虫を研究する山口県農林総合技術センター溝部信二専門研究員による