ハウス食品は7月3日、広島大学・東幸仁教授との共同研究で、カレーに動脈硬化予防で重要な役割を果たす血管内皮機能を改善する効果があることを臨床試験により確認したと発表した。
カレーには、スパイス由来の抗酸化物質が多く含まれており、高い抗酸化力が期待できる食品の1つであることから、同社は「カレーを食べれば酸化ストレスが低減されて、健康に良い効果をもたらすのではないか」と考え、研究に取り組んできた。
研究を行うなか、同社は、血液の流れを良くし、血管を柔軟に保つことで動脈硬化を予防する血管内皮の機能に注目した。
食後の血糖値の上昇で生じる酸化ストレスによって、血管内皮機能は低下し、動脈硬化が進展することが知られている。血管内皮機能が低下すると、血管内皮細胞の隙間からLDL(悪玉コレステロール)が血管壁に入り込んで酸化変性し、酸化LDLはマクロファージ(白血球の一種)に取り込まれ、動脈硬化巣を形成する。
抗酸化力が高いカレーを摂取することで酸化ストレスを除去することができれば、血管内皮機能を健全に保つことができると考えられる。
そこで、同社は、カレーを食べることによって、酸化ストレスによると考えられる食後の血管内皮機能低下が改善することを確認した。
試験は、4名の健康な男性(平均年齢45歳)を対象に行われた。180グラムのレトルトカレーまたはスパイスを含まないコントロール食品を200グラムの米飯と併せて摂取してもらい(計約500kcal)、摂取前後で血管内皮機能を比較した。あわせて、全身・上腕の血行動態や各種生化学指標も測定した。
血管内皮機能を示すFMD値の結果を統計処理したところ、スパイスを含まないコントロール摂取によって、値は5.8%から5.1%へ有意にした。一方、カレー摂取の場合、値は5.2%%から6.6%へ有意に上昇した。さらに、カレー摂取後の値はコントロール食摂取後に比べ、有意に高いことがわかった。
今回の試験で、酸化ストレスの増大によると考えられる食後の血管内皮機能低下が、カレー摂取後では見られず、血管内皮機能が改善することが明らかになった。