トヨタ自動車が看板車種の「カローラ」にハイブリッド車(HV)を追加したのは、定番モデルにHVを追加して買い替えを促すことに加え、HVの品ぞろえを充実させる狙いがある。
他の国内自動車大手もHVに力を入れ始めており、競争は激しさを増している。
◆定番車種追加
カローラHVの燃費性能はガソリン1リットル当たり33キロ・メートルで、ガソリン車より11・8キロ向上した。
HVを追加設定したのは、「カローラのHVが欲しい」との声が多かったほか、初代の発売から47年経過し、販売が伸び悩んでいた面も大きい。カローラは世界で4000万台近く売れ、国内新車販売でも2001年まで33年連続トップだったが、近年は低燃費のHVに押されている。開発を担当した安井慎一チーフエンジニアは「カローラにHVを追加して(販売台数の)順位を上げ、将来的には1位を奪還したい」と意気込みを語った。
トヨタはカローラ以外の定番車種でもHVモデルを追加する。中高年向けの「クラウン マジェスタ」、子育て世代向けのミニバン「ノア」、若者向けの「ヴォクシー」が対象で、幅広い年齢層を取り込むことができれば頭打ちの国内需要を喚起できるというのがトヨタの計算だ。
だが、この戦略は「もろ刃の剣」でもある。カローラHVは、価格帯が「プリウス」に近く、プリウスユーザーがカローラHVに流れることにもなりかねない。
◆迫るホンダ
HV市場で注目されているのが、ホンダ「アコード ハイブリッド」だ。看板セダンのアコードをHV専用車にして6月に発売した。燃費性能は30キロで、中型のセダンで最高水準を誇る。従来のホンダのHVは燃費でトヨタに後れを取っていたが、新開発のHVシステムで燃費を大幅に向上させた。9月に発売する新型「フィット ハイブリッド」は、トヨタ「アクア」の35・4キロ・メートルを抜いてHVで世界最高の燃費性能となる見込みだ。
日産自動車も高級セダン「シーマ」をHV化し、ミニバン「セレナ」にHVモデルを追加した。マツダも年内に主力車「アクセラ」のHVを発表する見通しだ。