カーシェア戦国時代 値下げ、若者開拓…体力勝負

 カーシェアリング各社のサービス競争が加速している。「カーシェア24」は6月から、「タイムズプラス」に名称変更し、料金値下げに踏み切る。今後4年間で台数を現在の10倍に増やす。一方、最大手のオリックス自動車はインターネットでの入会受付を始め、若者層取り込みに力を入れる。ここ数年、参入が相次いだ業界だが、投資回収に時間がかかり、営業を終了した会社もある。体力勝負の様相も呈しており、淘汰(とうた)が進む可能性もある。
 駐車場「タイムズ」で知られるパーク24が展開するカーシェア24は6月1日に、名称を「タイムズプラス」とする。いくつかに分かれていた料金プランも統一し、基本料金は実質無料にする。
 さらに、2014年10月までに拠点数を2000カ所、台数を4000台と現在の約10倍に引き上げる。モビリティ戦略企画室の内津基治室長は「便利でお得でないと広まらない。拠点が近くにないと利用されないのでタイムズに集中させる」と話す。
 全国約9000カ所の駐車場ネットワークが自信の裏付けだ。駐車場の確保や利用料はカーシェアリング業者にとって、大きな課題だが、すでに持っている強みを生かす。
 一方、02年に国内で初めてカーシェアリングを始めた最大手のオリックス自動車は4月から、ネットでの入会受付をスタートさせた。登録手数料が半額になるキャンペーンも行っている。
 同社は「若者を開拓したい」と話す。モデルは米のカーシェアリング大手、ジップカーで、利用者は学生が中心という。日本でも若者のクルマ離れが指摘されるが、維持費などで敬遠しているケースも多く、潜在需要は大きいとみている。
 何人かの会員で1台の車を利用するカーシェアリングは、駐車場代や税金などマイカー保有につきまとう負担がなく、「所有しない」というコンセプトでここ数年、都市部を中心に普及してきた。
 野村証券の昨年5月の調査リポートによると、10億円未満の市場規模が14年には200億~300億円まで急拡大すると試算。日本特有の充実した公共交通機関や高い人口密度のほか、消費者の節約志向などを背景に「長期的に1500億~2000億円程度まで拡大する余地がある」と分析している。
 ただ、車両や拠点の確保などに初期投資がかかるのも事実。「1台につき会員20~30人でようやく利益が出る」とされ、各社とも現時点で高い利益を上げているとはいいがたい。
 4月7日には東京・世田谷を中心に展開していたコミューカ・カーシェアリングが突如、サービスを終了。トヨタ自動車の「プリウス」を配備し、エコを打ち出していたが、「収益性や先行投資などから営業終了を決めた」(関係者)という。(田村龍彦)

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