ガソリンスタンドが20年前と比べて半減、なぜこんなに減っているの?

全国のガソリンスタンドが急激に数を減らしています。ガソリンスタンドはなぜ数を減らしているのでしょうか。

資源エネルギー庁の調べによると2016年度末における国内のガソリンスタンド数は3万1467カ所でした。20年前には、5万9615カ所ありましたから、半分近くに減った計算です。日本では人口の減少やそれに伴う都市部への人口シフト、若者の車離れなどガソリンには逆風が吹いていますが、こうした需要面の衰退だけではここまでの減少は説明できません。

ガソリンスタンドがここまで数を減らした最大の理由は、ガソリンスタンドが儲からなくなったことです。各ガソリンスタンドは、エネオスや昭和シェルといったブランド名を掲げていますが、ほとんどが零細事業者による経営となっています。日本の石油流通は、大手の石油元売り各社を頂点とするピラミッド構造になっており、ガソリンスタンドを経営する事業者は、これら元売り各社とブランドの使用許諾契約を結んだ上で、ガソリンを販売しています。

高度成長時代には、ガソリンの需要はうなぎ登りでしたのでどのガソリンスタンドも儲かりました。現在も国内には多数の自動車がありますから、一定の需要は存在しますが、かつてのような伸びは期待できません。

また、ガソリンは寡占状態にある元売り各社が精製したものですから、どこで買っても品質は同じです。そうなってくると、より安い価格を提示したガソリンスタンドに顧客が集まることになります。価格のみを差別化要因にした体力勝負では零細の事業者が生き残るのは困難といってよいでしょう。これがガソリンスタンドの数が減少してきた最大の理由です。

しかも困ったことに、今後はEV(電気自動車)化の流れが加速する可能性が高く、さらにガソリンスタンドへの需要は減少します。今後十数年でガソリンスタンドの数がさらに半減するという衝撃的な予測も出ているようです。

ガソリンスタンド各社は、こうした事態を受け、コンビニ併設型店舗やカーシェアとの連携など新しい事業形態を模索しています。ホームセンターや郵便局など他業種もガソリン販売への新規参入に意欲的ともいわれており、相互乗り入れが進む可能性も高まってきました。10年後には、単独のガソリンスタンドというのは、珍しい存在となっているかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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