この地域では安いのに、あそこでは高い!ガソリン価格が違う理由とは
ガソリン価格が一向に下がる気配をみせない今日この頃、店頭に表示された価格を見て給油するかどうか判断しているという人も多いかもしれません。同じ地域でも店舗ごとに微妙に値段が違うので、同じガソリンなら「1円でも安く給油したい」というのが本音といえるでしょう。
そんなガソリンの価格は、都道府県によっては10円以上の差がつくことも少なくありません。では、なぜ地域によってガソリン価格に大きな差が生まれるのでしょうか。
ガソリンの価格は、都道府県によっては10円以上の差がつくことも© バイクのニュース 提供ガソリンの価格は、都道府県によっては10円以上の差がつくことも
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そもそも、日本はガソリンの原料となる原油をほぼ輸入に依存しています。ガソリンの価格は国際紛争や景気動向などの影響を受けやすく、輸入品のため為替相場でも大きく左右されるのが特徴です。
こうした世界情勢の動向によって、日本国内のガソリン価格が変動していきます。ただしこの場合は、ガソリンの原料となる原油のみに影響があるだけで、各地域ごとのガソリン価格の差が生まれる原因になるわけではありません。
では、都道府県ごとにどのくらいの価格差があるのでしょうか。資源エネルギー庁では、全国のガソリン小売価格の調査をおこなっており、1週間ごとに結果を発表しています。それによると2023年7月26日発表のデータでは、レギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均価格は174.8円でした。
そしてガソリンの平均価格が最も高い県は、長野県がワーストで184.2円、次いで長崎県が182.2円、鹿児島県が181.6円、山形県が181.5円と続きます。一方、最も安い県は、岩手県の169.4円で、次いで徳島県の169.6円、青森県の169.9円、岡山県の170.1円という結果です。
こうしてみると、最もガソリン価格が高い長野県と最も安い岩手県では、じつに15円近い差があることがわかります。
同じガソリンでも、地域によってこれだけの価格差が生じるのは一体なぜなのでしょうか。
ガソリンスタンドの立地条件により価格差が生じることもある© バイクのニュース 提供ガソリンスタンドの立地条件により価格差が生じることもある
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その要因として考えられるのが、ガソリンスタンドの立地条件です。海外から輸入されてくる原油は、タンカーで運ばれて臨海に立地する全国の製油所に送られます。その後、製油所でガソリンや軽油などの燃料に精製されてから、タンクローリーに積み込まれ全国各地のガソリンスタンドに運ばれるという仕組みです。
このとき、海から離れた内陸地域や離島などは輸送費がかさむため、ガソリン価格が高くなる傾向にあります。反対に、製油所から近い地域は輸送費がさほどかからないため、ガソリン価格が安くなるというわけです。
内陸の山間部の地域は、製油所からガソリンを一時的に貯蔵する油層所に列車で運ぶこともある© バイクのニュース 提供内陸の山間部の地域は、製油所からガソリンを一時的に貯蔵する油層所に列車で運ぶこともある
とくに内陸の山間部の地域は、製油所からガソリンを一時的に貯蔵する油層所に列車で運ぶこともあります。そして、タンクローリーに積み替えてから運ぶため輸送費が余計かさむようです。離島の場合も同じで、タンクローリーで運んでから船に積みかえて運ぶため輸送費がかかります。
このように製油所から遠いほど、また手間がかかるほど輸送コストがかかり、それがガソリン価格に反映されて価格差が生じてくるというわけです。
そのほかの理由としては、その地域の人口も大きく関係しています。とくに人口密度の高い都市部では、競合店となるガソリンスタンドが多くなりがちです。そのため、他店よりも安くしてお客を呼び込もうと、価格競争が起こることも珍しくありません。
一方、人口が少ない山間部や離島などでは、ガソリンスタンドが少なく競争原理が働かないためガソリンが高くなる傾向にあるようです。また、都市部などの店舗では販売量が多いため、大量仕入れによって原価を抑えることができるのもひとつの要因といえます。
このように、輸送コストや競争原理、販売量など、各地域ごとの条件が加味されてガソリンの価格差が生まれているといえるでしょう。
これらを踏まえると長崎県や鹿児島県、沖縄県は離島が多いため、ガソリンの平均価格が高くなる傾向があります。また内陸に位置する長野県も、海から遠いため高くなりがちです。
海沿いにある石油貯蔵タンク© バイクのニュース 提供海沿いにある石油貯蔵タンク
一方でガソリンが安い地域としては、海沿いに製油所がある和歌山県や三重県、関東では千葉県などが挙げられます。東北は、仙台の製油所が近い宮城県や岩手県、青森県などで激しい価格競争があるため安くなりやすいようです。
なお、同じ東北でも山形県は山間部が多く、輸送コストが上がるため高くなりがち。また埼玉県は海から離れていますが、競合店がひしめき合っているため、常に安値の上位にランクインしています。
出発地よりも旅先の地域のガソリン価格が安いようであれば、少ない燃料で出かけ目的地で満タンにして帰ってくるほうがお得!© バイクのニュース 提供出発地よりも旅先の地域のガソリン価格が安いようであれば、少ない燃料で出かけ目的地で満タンにして帰ってくるほうがお得!
こうした地域によって異なるガソリンの価格差は、長距離を走るツーリングを楽しむ際に燃料代の節約に役立てることができます。たとえば、出発地よりも旅先の地域のガソリン価格が安いようであれば、少ない燃料で出かけ目的地で満タンにして帰ってくるほうがお得になるといえるでしょう。
さらに、ガソリン価格の比較アプリを活用すれば、より細かな情報を入手することができます。アプリによっては現在地周辺のガソリンスタンドの位置とガソリン価格を、グーグルマップ上に表示してくれます。
ひと目でその地域の最安値のガソリンスタンドを見つけられるため、旅先の慣れない土地で給油する際でも重宝するはずです。
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輸送コストの違いや競合店の有無、販売量などが、ガソリン価格の地域差が生まれる理由になっているようです。1リットルの差額は小さくても、給油の回数が多くなればなるほどガソリンの価格差は家計に響いてきます。
ガソリン価格が高騰している昨今、地域の価格差や比較アプリを上手く活用して、少しでもお得にバイクライフを楽しみたいものです。