ガソリン高騰 家計・企業を圧迫 GS「明らかに客足鈍い」

 ガソリン価格の上昇が止まらない。イラク情勢の悪化などを受けた原油高で、今週のレギュラー価格(14日)は12週連続で値上がりし、1リットル当たり170円に迫った。リーマン・ショックがあった2008年9月末以来、約5年10カ月ぶりの高値水準だ。ガソリン価格の高止まりが続けば、夏の行楽で車での遠出が増える家計や、運輸業界など企業活動にも悪影響が及びかねない。
 経済産業省資源エネルギー庁が16日発表した14日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、前週(7日)と比べて20銭高い169円90銭となった。トラックの燃料などに使われる軽油も前週に比べ20銭高い147円60銭と13週連続で値上がりし、約5年9カ月ぶりの高値水準となった。
 価格上昇の原因は原油高だ。イラク情勢の悪化によりアジアで指標となるドバイ原油は、6月23日に1バレル当たり111.7ドルと、今年2月初めにつけた直近の安値に比べ約10ドルも上昇。石油元売り各社は原油の輸入コストの上昇分を卸売価格に上乗せし、ガソリンスタンドでの店頭価格にも遅れて反映されている。
 ガソリン価格の上昇は家計を圧迫しかねない。消費税増税前に比べ、レギュラー価格を10円引き上げて1リットル=171円で販売する都内のガソリンスタンドのスタッフは「前年に比べて明らかに客足が鈍くなった」と肩を落とす。満タンではなく、1000円や2000円というように定額分だけ給油する客も増えているという。
 企業活動にも影響が及ぶ。引っ越しなどに使うトラックの燃料として主に軽油を使う日本通運は、足元の軽油の調達価格が4月と比べ5%程度上がった。広報担当者は「利益面にも影響が出てくる」と話す。
 日通の場合、企業間物流で荷主である企業と年間など一定期間の運賃契約を結ぶことが多い。このため軽油価格の上昇がすぐに運賃に反映されるわけではないが、それでも上昇傾向が続けば「(値上げを)お願いすることはあり得る」という。
 ただ、ガソリン価格は今後も一本調子で上昇するわけではなさそうだ。高水準ではあるものの、足元で原油価格が下落しているからだ。緊迫するイラク情勢への楽観的な見方が広がり、供給懸念が後退。7月8~14日平均のドバイ原油は、1バレル=106.1ドルと前週に比べ2.12ドル下落した。
 来週のガソリン価格について、調査した石油情報センターは「下落が見込まれる」と分析する。ただ、卸売価格の値上げ分を十分に転嫁しきれていないガソリンスタンドがあるほか、需給も引き締まっており、値下げ幅は「小幅にとどまるだろう」(同センター)という。

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