登録者数110万人を突破したYouTubeチャンネル『東谷義和のガーシーch』で、人気俳優やアイドル、スポーツ選手らの“秘密”を次々に暴露。芸能界を騒がせている東谷義和氏が昨年、「K-POPのスターに会わせてあげる」などと若い女性たちに声をかけ、多額の金銭を詐取する騒動を起こしていた。
「被害に遭ったのは1人2人ではありません。全国で20人はくだらないのではないか。1人当たり数十万円から100万円を超える額のお金を取られていて、被害総額は数千万円規模だと見られています。昨年秋頃にはすでに『被害者の会』として、大勢の被害者が連絡を取り合っていました。東谷氏のターゲットになったのは主に20代30代の若い女性です」(全国紙社会部記者)
4月20日、東谷氏は女性セブンの取材を受けてYouTubeに釈明動画をアップ。集めた金は「いかさまの賭博にはまって、すべてを無くしました」と明かし、「僕はたぶんギャンブル依存症だと思います」などと開き直る姿勢に、被害者の女性たちは唖然としている。翌日の21日には再びYouTubeで生配信し、医師でAGAスキンクリニックの経営者である麻生泰氏が登場。コラボライブの対価として、被害者への弁済金、4000万円ほどを肩代わりすると発表した。
そもそも、どういった騒動だったのか。
東谷氏が女性たちから金銭を得る材料にしたのは韓国の人気アイドルグループ「BTS」。昨年9月には国連のイベントに登壇するなど、いまや世界のトップアーティストである。
「東谷さんは、いつもの関西弁でまくし立てる口調で、“お前だけにええ話があるんや。BTSに会いたないか? オレがBTSに会わせたるで”と声をかけてきたんです」と明かすのは、被害者のA子さんだ。
世界的人気のBTSに会える――ファンにとってみれば夢のような話だが、多くの人は「そんな夢みたいな話はあるはずない」と思うだろう。だが、東谷氏にはそれを女性たちに信じさせるだけのバックグラウンドを持っていた。東谷氏は、山田孝之や綾野剛、佐藤健、新田真剣佑など人気俳優、ONE OK ROCKのTakaなど人気ミュージシャンと頻繁に飲み歩き、実際に彼らを女性たちに紹介することによって、「ひょっとしてBTSとも縁があるかもしれない」と信じ込ませていた。
「韓国の歌手、俳優であるイ・ホンギさんとも親しく、彼のインスタグラムにもよく写り込んでいました。韓国人と中国人のメンバーからなるグループ『EXO』のメンバーや、韓国の3人組ロックバンド『FTISLAND』のメンバーが来日したときも、東谷氏が日本の女性を紹介していたそうです」(前出・社会部記者)
“顔が広い”ことを利用し、女性たちの信用を得ていた東谷氏の詐取の手口は、実に巧妙だ。
「まずは、東谷さんが関連する会社が“BTSのグッズを販売している”と、グッズの写真などを見せながら説明します。そして、BTSが韓国やアメリカで、ライブやイベントをするときに、グッズを販売するために自分も同行することになっているから、その場に一緒に来ないか、と声をかけるんです。なんでもBTSと一緒に移動したり、同じホテルに泊まったりするので、話をできたり、食事をするチャンスもある、と言うんです。
その後、事細かにまとめられた日程表を渡されました。旅行代理店がつくるような、本格的なものです。ロサンゼルス空港にJALの何便で何時に到着、ビバリーヒルズのリッツカールトンホテルに宿泊、デルタ航空の何便で帰国、といった具合です。私が誘われた当時は、新型コロナも大変な時期だったので、入国時のワクチン接種証明書の手配のアドバイスも細かくされます」(A子さん)
東谷氏が提示する“BTSとの旅行スケジュール”は精巧にできていて、実際に公表されているBTSのライブやイベントの予定に合わせていたり、少なくとも齟齬しない形でまとめられていた。航空機やホテルも実在のものなので、つい信じてしまってもおかしくない。
東谷氏はホテル代や航空機代として何十万円かを請求。複数の被害者によると、その額は30万円から60万円ほどで、アメリカに行くのか、韓国に行くのか、それぞれの“旅行スケジュール”によって違っていたようだ。さらに、ホテルをアップグレードする、飛行機をビジネスクラスにする、BTSと一緒に話せるようにセッティングする、などといった名目で、さらに数十万円を振り込ませていたという。
お金を取り続ける間も、東谷氏は女性たちが不審に思わないように、次々と手を打ってきたという。パスポート番号を聞いたり、BTSと一緒に行動できるという“通行証”を作るなど、手が込んでいる。
別の被害者であるB美さんが続ける。
「東谷さんは日本の芸能人との繋がりを見せびらかすときに、その本人と一緒に撮った写真や、メッセージのやり取りをしているLINEの画面を見せるんです。
BTSと会わないかと誘われたとき、東谷さんは“オレはBTSのグクと仲がええねん”といってました。BTSのメインボーカルのジョングクさんのことです。そして、韓国でよく使われているメッセージアプリ『カカオトーク』の画面をスマホでひらいて、“こんな感じでグクとやり取りしてんねん”と、ジョングクと東谷さんの英語でのメッセージのやり取りを見せてきたんです。“グクがオレに日本人の女性を紹介してくれって言ってきてんねん”“オレはお前を紹介したいんや”と続けていわれ、これですっかり騙されてしまいました。
あとから思えば、東谷さんがジョングクとやり取りできていたか怪しい。カカオトークの画面も、他にスマホを1台用意して、“自作自演”でメッセージをやり取りして、それを見せることもできますから」
東谷氏は20人はくだらない女性たちからお金を集めていたというが、なぜそこまで被害は拡大したのか。
「東谷さんからBTSに会えることは絶対に誰にも言うな、としつこく言われたんです。“同行できる人数が限られてるんや。お前だけに特別に声をかけてるから、絶対に誰にも言わんといてな”と口止めされたので、誰にも相談できなかったんです。さらに、BTSのスケジュールが外部に漏れるとファンが殺到してマズいことになるから、警備上の問題もあって、口外してはいけない、誰かに話したらこの話はなしにする、と念を押されました。
出発直前になって、“新型コロナの状況が悪いから延期になった”と理由をつけて、東谷さんからキャンセルの連絡があってから、いつまで経ってもお金が返金されない。それで意を決して、東谷さんと共通の知人に相談したら、“どうやらそういう詐欺にあっている子が他にもいるらしい”と言われ、愕然としました」(B美さん)
誰もが信じるように徹底して作り込んだスキーム、そして発覚をできるだけ遅らせるための口封じ――実に巧妙な手口だ。被害者たちは、速射砲のように関西弁でまくしたてる東谷氏のしゃべり口調にも、あれよあれよという間に騙されてしまったと語る。
女性セブンの取材後、東谷氏は前述のように麻生医師から4000万円を肩代わりしてもらい、弁護士を通じて被害者に弁済することを約束したが、それでも彼の行いが帳消しになるわけではない。3億円以上あると見られる債務をすべて返すために、今後も”暴露”を続けるという東谷氏。
「お前の非道を全部さらしたるからな!」――そう叫びながら、次々に芸能人たちを断罪する暴露男は、「自らの非道」にどのように向き合っていくのだろうか。