キグレサーカス営業停止 インフル禍で“昭和の思い出”が… (夕刊フジ)

またひとつ、“昭和の思い出”が消える。全国でサーカス公演を行っていた「キグレサーカス」(札幌市)が、営業停止に追い込まれた。帝国データバンクによると、負債総額は約5億8800万円。キグレサーカスは“日本3大サーカス”の1つに数えられたが、新型インフルエンザ流行の影響を受けた2009年10月の埼玉県川越市での公演で、大幅な赤字を出すなどして資金繰りが悪化、今月23日から予定されていた前橋市での公演も中止になっていた。
 キグレサーカスは1942年設立、札幌市中央区に事務所を置き、77年に法人化した。木下大サーカス(岡山市)、ポップサーカス(大阪市)と並ぶ日本3大サーカスの1つで、「キグレNewサーカス」の名前で全国各地を回り、子供から大人まで多くの人たちに親しまれた。
 ピエロの芸やジャグリング、シーソーに綱渡り、動物ショー、空中ブランコなどサーカスの王道芸のほか、球形の鉄製かごの中を3台のバイクが走り回るバイクショーや、和傘を足で扱う曲芸など日本の伝統芸能を盛り込んだショーも売り物だった。最近では、お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史がバラエティー番組の企画で同サーカスに参加したり、タレントの遠藤久美子が空中ブランコに挑戦したこともあった。
 1997年には9億円を超える売上高を計上。3500人が収容可能なテントで人気を集めた時期もあったが、近年は個人消費の低迷などを受け業績が悪化。東京商工リサーチ北海道支社によると、2009年10月の埼玉県の公演では、新型インフルエンザ流行の影響で客足が伸び悩み、大幅な損失が発生。今年8-9月には岩手県で公演を行ったが、資金繰りは改善できなかった。
 出演者など従業員35人は9月末で解雇。事後処理を代理人の弁護士に一任し、今後は任意整理を進めるという。

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