仙台市中心部の宮城野通(宮城野区)と定禅寺通(青葉区)で、公開空地や歩道を街の活性化に活用する社会実験が始まった。キッチンカーを並べて飲食を提供したり、いすやテーブルを配置して憩いの空間を創出したりする。関係者によると、公共空間を活用する社会実験の2カ所同時実施は、全国でも珍しい取り組みという。
宮城野通では16日、ユアテック本社前の公開空地で「ユアキッチン」が始まった。キッチンカー4台と飲食店ブースが並び、カレーやメロンパンなどの販売が行われ、ランチタイムには多くの市民が立ち寄った。
新型コロナウイルス感染症対策で、当面は飲食用の座席を設置せず持ち帰ってもらう。出店した近くの飲食店、東口ミート酒場の柿本樹店長(43)は「東口を盛り上げるとともに激減した店の売り上げを少しでも回復させたい」と語った。
JR仙台駅東口の住民や企業などでつくる「仙台駅東まちづくり協議会」や市職員有志らの実行委員会が主催する。9月14日まで午前11時~午後6時に出店する。今後、キッチンカーを10台前後、飲食店ブースを12店まで増やしていく。
定禅寺通では15日、せんだいメディアテーク向かい側で、4回目となる「リビング・ストリート・プロジェクト」がスタートした。
南側の歩道約80メートルの区間にテーブルといすを間隔を空けて複数配置。ケヤキ並木を楽しみながら飲食、読書、おしゃべりの場として自由に利用してもらう。
官民組織「定禅寺通活性化検討会」に加盟する青葉区立町地区の地権者やテナントの有志が主催し、7月15日まで毎日午前10時~午後7時半に実施する。
近くのすし店経営黒田寿弘さん(73)は妻と訪れ、「木陰で涼しいし、定禅寺通の景観も良くなる。『3密』が避けられ、良い取り組みだと思う」と喜んだ。
国土交通省は新型コロナの影響を受ける飲食店の緊急支援策として、持ち帰りやテラス営業を行う場合に限り、11月まで道路占用の許可基準を緩和しており、公共空間活用の取り組みが全国で進むとみられる。