ある調査によると、今回の増税は、「前回増税時(2014年)よりも家計への負担を感じる」という人が7割にものぼったという。だが、そんなに悲観することはない。国の「ポイント還元制度」を最大限活用できる、お得な決済方法がある。その仕組みとは──。
「10月1日、消費税が8%から10%に引き上げられ、今後の生活が心配な人も多いでしょう。でも、安心してください。実は増税後の今なら、むしろ増税前よりお得になる場合が多いのです」
こう語るのは、ポイント情報サイト「ポイ探」代表の菊地崇仁さん。実は、政府が10月から実施している、最大5%のポイントを還元する「キャッシュレス・ポイント還元事業」を駆使すれば、私たちが思っているよりもずっと得できるというのだ。
「キャッシュレスで支払うだけでなく、決済方法や買い物するお店を工夫すれば、2%の増税分をカバーするどころか、10%以上のポイントをゲットするのは難しくありません」(菊地さん)
「キャッシュレス」とは、買い物をする時に、クレジットカードや電子マネー、スマホアプリのQRコード決済などで支払うこと。要は、現金や金券以外の支払い方だ。今回、それらのキャッシュレスで支払うとポイントが還元されるというサービスを政府が行うことになった。還元率は、コンビニエンスストアやドラッグストアなどのチェーン店では2%、中小規模(資本金5000万円以下、または従業員50人以下の会社や個人事業主)の小売店では5%となる。
「過去の増税時には、駆け込み需要の反動で消費が大きく落ち込みました。政府は、景気を支えるため、消費者と中小企業に向けた支援として、今回の制度を導入したのです。そのため百貨店や大手スーパー、家電量販店などは対象外となります。還元を受けられるお店かどうかを見分けるには、店頭に貼られている『5%還元』『2%還元』のステッカーを確認してください」(菊地さん)
とはいえ、制度の実施期間は今年10月から来年6月までの9か月間。どうすればこの“甘い蜜”を存分に吸えるのか。
現金で支払った場合はポイントは「なし」
一口に「キャッシュレス」といっても、クレジットカードや電子マネーなど種類が多く、どれを使えばいいかわからない。一体どれがいちばんお得なのか。菊地さんが話す。
「今いちばんお得なのは、問答無用で『QRコード決済』でしょう。サービスを提供する各社がポイント還元率の高さを競う大規模なキャンペーンを打ち出し、熾烈な顧客獲得競争を展開しています」
QRコード決済とは、自分のスマホの画面に表示したQRコード(バーコード)を、店のレジで読み取ってもらうことで、買い物の金額を請求される仕組みだ(一部に、店側のQRコードを自分のスマホで読み取る方法もある)。
請求された金額は、(1)銀行口座やクレジットカード、銀行ATMから事前にQRコードにチャージしておいたお金から、または(2)クレジットカードの後日決済から、または(3)銀行口座の即時引き落としから支払う3つの方法がある。
ならば、わざわざQRコードを使わなくても、クレジットカードだけでいいと思うかもしれないが、使ってみると、スマホの画面を見せるだけというのは早いし手軽だ。スマホに暗証番号を入力するので、落としたら勝手に使われるクレジットカードよりもセキュリティー度も高い。
何より、クレジットカードとひも付けることで、QRコードで支払った際のポイントと、クレジットカードのポイントの「2重取り」ができるのだ。これに加え、政府のポイント5%還元が上乗せされ、「3重取り」になる。
現金で支払った場合は何も介さないためポイントは「なし」。クレジットカードなら、政府の還元が付いてポイントは「2重取り」できる。QRコード決済などの電子マネーが最強で、クレジットカードを経由して支払えばポイント「3重取り」だ。
つまり、現金で支払っても、なんの得にもならないどころか、本来もらえるはずのものがもらえず「損」をする。どうせもらうなら、仕組みを最大限活用して3重取りを「基本戦術」にしてほしい。
※女性セブン2019年10月17日号