キリン仙台工場、完全復旧 瓶ビール製造ライン稼働

キリンビールは15日、東日本大震災で大きな被害を受けた仙台工場(仙台市宮城野区)で瓶製品の製造を再開した。缶製品のラインは既に稼働しており、震災から11カ月余りで全ての生産機能が復旧した。
 横田乃里也工場長は工場内で記者会見し「多くの支えと励ましでここまで来られた。より効率的なビール造りを進め、被災地支援にも取り組んでいく」と述べた。
 製造を始めたのは「一番絞り」「ラガー」の2種類の瓶ビール。肩ラベルは「元気!東北 仙台工場謹製」とデザインした。デザイン瓶は3月上旬までに7万3000ケース(1ケースは大瓶20本換算)を製造し、新潟を含む東北7県で販売する。早ければ今月下旬には店頭に並ぶという。
 缶ラインを含む生産量は年約16万キロリットルで、東北7県の市場規模に合わせ震災前の19万キロリットルから縮小する。従業員は震災前の約200人を維持する。
 完全復旧に併せて緊急地震速報システムも導入。津波避難ビルに指定されている事務所棟などには、水や食料など700人、2日分を備蓄した。4月には貯蔵タンクの耐震補強も終える。復旧、整備費は総額約61億円。
 今後は被災した周辺小学校の運動会の会場として、グランドや体育館を開放するなどし、地域との関わりを深める。
 仙台工場は津波の直撃を受けて生産を一時停止。缶製品は昨年10月に製造を再開し、11月から出荷している。

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