キー局落選組が大活躍 局アナの時代は終わっている

元TBSの宇垣美里に吉田明世、元テレビ朝日の宇賀なつみなど、最近ではキー局アナのフリー転身が目立つ。しかし、満を持して羽ばたいたはずが、看板番組の視聴率が振るわずに苦戦しているケースも多い。そんな中、いま活躍が著しいアナウンサーやキャスターに目を向けると、キー局のアナウンサー試験に落ちた過去のある顔ぶれが並んでいるのだ。

例えば、2017年4月から「Nスタ」(TBS)のサブMCを任され、今やすっかり夕方の顔となったホラン千秋(31)。元フジテレビのカトパンこと加藤綾子がメインMCを務める「Live News it!」(フジテレビ)に視聴率で勝つことも多く、業界内でもその実力が高く評価されているという。

「ホランさんは青山学院大卒で、オレゴン州立大に留学をした経験があります。また、アイルランド人の父を持ち、くっきりとした顔立ちも印象的。まさに才色兼備なのですが、実は民放キー局すべてのアナウンサー試験を受けるも全敗してしまったそうなんです。売れない時代はスーパーでレジ打ちのアルバイトをしていたこともあったそうで、ときに見せる庶民派な一面やモテないキャラが主婦層からも支持を集めています。しかし、庶民派と言いつつも、18年度に最も稼いだ女性フリーアナと報じられ、その記事によれば2億5500万円を稼ぎ出したようです」(女性週刊誌の芸能担当記者)

一方、出演本数の多さで首位に立ったフリーアナウンサーの新井恵理那(29)もキー局落選組のひとりだ。「2019上半期タレント番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ)の女性キャラクター部門で見事1位に輝いた新井の出演番組は実に幅広く、平日朝の生放送「グッド!モーニング」(テレビ朝日)などのニュース番組から、バラエティー番組「所さんお届けモノです!」(TBS)でのMCアシスタントまでを器用にこなしている。

「新井さんは在学中にミス青山学院大グランプリに選出された美貌の持ち主。フジテレビの最終選考まで残ったそうですがダメで、お台場の商業施設のトイレで号泣したとさまざまな媒体で明かしています。9月に発売された自著内ではフリーアナウンサーとして固定給ゼロからスタートしたことやオーディションと降板を繰り返した修行の5年間などについても語っています」(同)

■地方から這い上がった川田裕美

地方で実力を磨き、フリーランスとして東京で花を咲かせた者もいる。その筆頭といえるのが川田裕美(36)だろう。受験したキー局は全滅したものの、読売テレビに合格し入社。「情報ライブ ミヤネ屋」のアシスタント時代は、メイン司会の宮根誠司のアドリブへの対応力や天真爛漫な明るさが話題となり、その名が東京にまで広まった。

「2015年にフリーとなり、東京に拠点を移してから川田さんの快進撃が始まります。ギコチないスキップを披露したり、アンコ好きや線香好きをアピールしたりと、特異なキャラでイジられることも多いですが、そこが視聴者に親近感を与えているようです。民放だけでなくNHKにも出演するなど好感度の高さがうかがえます。番組進行が上手なうえ、女性芸人のような立ち居振る舞いもできる“二刀流”として『女子アナ界の大谷翔平』と報道されたこともある。実力十分な川田さんの活躍はしばらく安泰といえるでしょう」(同)

ほかにも“政治家の妻”となった滝川クリステルや、お天気キャスター出身でマルチな活躍を見せる皆藤愛子もフジテレビの入社試験に落ちた経験の持ち主だ。TVウォッチャーの中村裕一氏は、キー局で不採用となった彼女たちの活躍ぶりについてこう分析する。

「80年代から90年代にかけて『女子アナ』はまだ希少価値が高く、社会的なステータスも高かったと言えるかもしれません。しかし、一時期のフジテレビや日本テレビのようにユニットを組んでCDデビューさせるなど、まるでタレントのように売り出した結果、今やかつてのような威光はほとんどなくなった。とはいえ、アナウンサー試験は今でも非常に狭き門であるため、当然、多くの人が涙をのむ結果になります。したがって、試験に落ちた過去を持つフリーアナが出てくるのも自然な流れだと思います。また、アナウンサーを目指す女性たちも、キー局のアナウンサー、いわゆる『局アナ』になることに必ずしも固執していないのではないでしょうか。なまじテレビ局の正社員となって長時間の収録で拘束されたり、異動の対象になってしまったりするほうが、かえってキツい場合もあります。むしろ局アナの採用試験に落ちたことをバネにしたり自分のセールスポイントに変えたりして、自由な生き方のできるフリーアナを選ぶ人はこれからも増えていくと思います」

 最近、週刊誌で発表された「好きな女子アナ20」(「週刊ポスト」10月7日発売号)では、かつてアイドルアナを生んできたフジテレビからは19位の山崎夕貴アナのみがランクインするというなんとも寂しい結果に。世間が求める女子アナ像の変化や多くのフリーアナウンサーを抱える事務所、セント・フォースの台頭などにより、「キー局に入れば安泰」は過去のものとなりそうだ。今後も令和の女子アナ勢力図は大きく書き換えられる可能性があり、目が離せない。(高梨歩)

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