ギターに復興の願い込め 故郷や仙台で演奏活動

岩手県山田町出身のギタリスト岡市尚士さん(32)=東京都=が仲間と共に、故郷や仙台市などの被災者に向けた演奏活動を続けている。東日本大震災当時、山田町で漁師をしていた岡市さんは自宅と仕事を失い上京。レスリングのインストラクターとして働きながら音楽による復興支援に力を注ぐ。3月には山田町で音楽祭を開く。
 岡市さんは先月20日、勤め先の格闘技道場の同僚でバイオリニスト西垣恵弾(けいた)さん(38)=東京都=と仙台の仮設住宅などを訪問。「ふるさと」や「川の流れのように」「情熱大陸」などを披露した。
 2人は震災後、山田町で演奏などを続けているほか、東京の内装会社が中心となって毎月仙台市などで行う復興支援活動にも同行している。岡市さんは「涙を流して聴いてくれる人もいる。みんながちゃんとした生活になるまで、きょうはいい日だったと思えるような演奏をしたい」と話す。
 岡市さんは以前、東京の格闘技道場で働きながらロックバンドで活動、約3年前に帰郷した。定置網漁船の漁師となって1年ほどで震災に遭い、祖母を亡くし、家、仕事も失った。消防団員としての捜索活動などが一段落したころ、道場のオーナーに復職を勧められ再び上京。「地元の役に立ちたい」と被災地支援を独自に始めていた西垣さんとユニットを組んだ。
 故郷を活気づけようと3月23日に山田町中央公民館で「山田町音楽祭」を開催する。詳細は未定だが、山田中吹奏楽部やロンドン五輪レスリング女子金メダリスト小原日登美さんらが参加する。岡市さんは「音楽祭を通じて町に足を運ぶ人を増やせたら」と語る。

タイトルとURLをコピーしました