クマなど野生動物が暮らす豊かな森を守ろうと、自然保護に取り組む一般財団法人「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)の宮城県支部が富谷市に今年発足し、仙台市内で26日、結成祝賀会があった。参加者は県内で大規模太陽光発電(メガソーラー)や風力発電事業に伴う開発が急速に広がることへの危機感を共有した。
1997年設立の協会は、森林の大規模開発が災害の頻発や地域におけるクマの絶滅、農作物の鳥獣被害につながっているとして、寄付による人工林の買い取りや植樹、行政への働き掛けなどを行う。会員は約1万8000人。6月発足の宮城を含めて全国26支部となった。
支部長に就任した富谷市の会社員小松淳さん(61)は、祝賀会で「野生動物が命を全うできる豊かな森を、少しでも将来世代へ残せるよう活動したい」と決意を語った。若生裕俊富谷市長も出席して祝辞を述べた。
基調講演した協会の室谷悠子会長は、活動の経緯や国内の森林の現状を紹介。会員による県内のクマ出没や再生エネルギー事業に関する説明、県北の風力発電計画の勉強会を開く大崎市の市民団体「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」の報告もあった。
室谷会長は「宮城では東北他県と比べて突出して多くの再エネ計画が進められ、豊かな自然と住民生活が脅かされている。地域からもっと声が上がるよう、ネットワークを広げていきたい」と話した。
個人会員は年会費1000円から。年4回会報が届く。連絡先は協会0798(22)4190。