日本の魅力を海外に発信する政府の「クールジャパン戦略」見直し案の全容が1日、判明した。政府の司令塔機能を強化するため、今月中旬にもクールジャパン戦略担当相を議長とし、外務省や経済産業省などの副大臣らで構成する「クールジャパン戦略会議(仮称)」を設立する。
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3日にも首相官邸で開く知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)で見直し案を決定する。戦略の改訂は平成27年の策定以来、初めて。戦略会議の立ち上げに伴い、内閣府副大臣をトップにした従来の「クールジャパン関係府省連絡・連携会議」は廃止する。
見直し案ではクールジャパンを「日本が世界でもそのプレゼンスや影響力を維持し続ける上で極めて有効な手段」と位置づける。東京・渋谷のスクランブル交差点や弁当箱、路地裏の風景など、外国人から見れば日本人の日常生活は「クール」であり、「無限に拡大していく可能性を秘めている」と明記した。
新たな戦略では外国人が日本に興味を持つ「入り口」と「深み」を広げることを目指す。各省庁や企業が持つ外国人に関する調査結果をクールジャパンの視点から分析する重要性を指摘。会員制交流サイト(SNS)上での日本への共感を人工知能(AI)などを用いて計測、その結果を人材育成を通じて共有する必要があるとした。
クールジャパンに関わる外国人を対象に在留資格の条件緩和も検討。旅行など短期にとどまらず、日本に長期滞在して活動する外国人を増やすため、来年度設置される外国人共生センターなど関係機関と連携を急ぎ、才能ある外国人を受け入れる環境を整える。
地方やものづくりに携わる中小事業者の参画を進めるため、日本に知見のある外国人の紹介や異業種交流など発信力の向上も促す。