クールビズ軽装感で「西高東低」 東京と大阪で売れ筋異なる…なぜ?

夏の“クールビズファッション”は今年で9年目。単なる「ネクタイを外す」スタイルから、年々おしゃれの幅は広がっている。ただ、どこまでラフさが許されるのかで、頭を悩ませる人も少なくないだろう。そんなクールビズファッションだが、実は大阪と東京では売れ筋商品が明らかに異なる。軽装感やラフさでの“クールビズ度”は「西高東低」の傾向があるようだ。
 百貨店やアパレル業界でつくる「クールビズ・プロモーション協議会」が6月、阪急百貨店梅田本店で開いた「スーパークールビズ」のキックオフイベント。在阪百貨店の社員が、各店一押しの「クールビズファッション」で登場した。
 今年のトレンドは-。高島屋大阪店は「明るめのカラーコットパンツがキーアイテム」とし、男性モデルが薄いピンクのコットンパンツと、鮮やかなスカイブルーのジャケットで登場。店頭では青や赤など、ちょっと派手なパンツを取りそろえているという。
 京阪百貨店は濃いブルーのチノパンと、花柄のポロシャツのスタイルを提案。今年は機能性もプラスした派手目のカラフルなパンツやシャツなど、おしゃれ度を追求したアイテムが注目を集めた。
 売れ筋商品に「東京と大阪で違いがある」と話すのは、百貨店広報担当者だ。売れ筋の違いをみると、軽装感で「西高東低」の傾向がみられるという。
 高島屋新宿店では、軽い素材などを使うジャケットが前年比3割増と好調に推移しているが、大阪店では伸びていない。一方、大阪では麻素材の半袖シャツが同9割増と好調で、広報担当者は「大阪では清涼感のある半袖シャツで夏場を過ごす人が多いが、東京ではジャケットを着用する機会が多い」と話す。
 大丸松坂屋百貨店でも同様の傾向がある。同社の広報担当者は「東京はクールビズ期間中でも、きちんとした印象を与えられる軽いジャケットやポケットチーフなどの小物が好調だ」という。
 東西が異なる理由について、同担当者は「気温が大阪の方が高い」という気候の違いに加え、「金融業など、服装も含めて『堅い』業種が多い東京に対し、大阪は中小企業が多いことなども影響しているのでは」と、ビジネス環境の違いが反映されていると分析している。
 クールビズは夏場にエアコンの設定温度を下げる環境対策として、平成17年に始まった。当初はノーネクタイ・ノージャケットが中心で、百貨店などは肌着が隠れやすいシャツ、軽量・速乾など素材が売り物のスーツなどを商戦で展開した。
 東日本大震災後は節電意識が高まり、環境省はさらに進んだ軽装を認める「スーパークールビズ」を提唱。アロハシャツなども認め、服装自体の一層の軽装化を推奨する。今年のクールビズ関連商品はアイテム数、種類とも増加した。
 1日から夏の節電期間がスタート。関西電力管内は電力の余裕が厳しく、加えて今春電気料金が値上げされたばかりだ。節電需要は関西が高いため、クールビズ関連商品の需要も西高東低なのかもしれない。(阿部佐知子)

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