グーグルが、個人の嗜好や行動を把握する仕組みとは?

現代は普通にネットを利用しているだけで、個人情報が脅かされる時代です。折しも巧妙な手口で個人情報を盗むウイルス、Emotet(エモテット)が猛威を振るっています。普段目にするネット広告も、あなたのネット上の行動を追跡しているかもしれません。安心かつ快適にネットを利用するにはどうするか。その勘所を6回にわたってお教えします。

◇    ◇    ◇

Googleアカウントを取得しているユーザーは、グーグルの各サービスにログインして利用するたびに、さまざまな履歴が収集されている。例えば「何のキーワードで検索したのか」「どんな動画をよく視聴するのか」「何月何日にどこに出かけたのか」といった履歴がアカウントに逐一保存されている場合があるのだ(図1)。

これはグーグルが自社サービスの利便性を向上させたり、ユーザーに関連性が高い広告を表示するためだが、自分の嗜好や行動パターンが把握されているのはあまり気持ちが良いものではない。

あわせて読みたい

ファイル操作は最短コースで プロパティを一発で開く

ウインドウ切り替え術 キー操作で作業効率が上がる

図1 グーグルのサービスを利用すると知らないうちにさまざまな情報が記録される。ユーザーの設定にもよるが、Google検索やGoogleマップの履歴、YouTubeの視聴履歴、スマホの位置情報などが保存されるケースがある。収集される情報は上記の3項目に分かれており、自身でオンオフが可能だ

グーグルが収集するのは、「ウェブとアプリのアクティビティ」「ロケーション履歴」「YouTubeの履歴」の3項目。どんな情報が記録されているか気になるなら、アカウント管理画面で「データとプライバシー」の項目をチェックしよう(図2)。ここでは、先に挙げた3項目の収集状況や保存期間など、ユーザーに関わる多くの設定が集約されている。普段意識することは少ないが、アカウント取得時にユーザーの承諾を得て、基本的にロケーション履歴以外の2項目は保存されているはずだ。

図2 左記のURLからGoogleアカウントの管理画面を開き、「データとプライバシー」を選択すると、グーグルが保存している情報を確認できる。「ロケーション履歴」以外はオンの場合が多い

真っ先に確認したいのがウェブとアプリのアクティビティだ(図3)。ここには検索やマップ、Google Playなど多岐にわたる履歴が記録されている(図4)。初めて見ると、いかに多くのプライベートな情報がグーグルに把握されているか驚くだろう。保存された履歴情報は、指定した期間のデータを削除したり、すべてのデータを削除したりできる(図5)。履歴の保存を避けたいなら3項目それぞれでオフにできるほか、一定期間後に自動で削除するようにも設定できる(図6)。ただし、当然デメリットもあり、一部の便利な機能も利用できなくなる(図7)。

図3 図2で「ウェブとアプリのアクティビティ」を選択するとこの画面が現れる。ここで履歴の表示や保存のオンオフを設定できる。「音声アクティビティを含める」がオンだと、Google検索やGoogleアシスタントなど音声入力の内容が記録される

図4 図3で「すべて表示」を押すと、グーグルのサービスの利用履歴が時系列で一覧表示される。「×」を押せば個別に情報を削除可能。指定期間のデータや全データをまとめて削除するには、「削除」を押す(図5へ)

図5 すべての履歴情報を削除するなら「全期間」を選択。期間を指定するなら「指定の期間」を選択すればよい

図6 図3で「自動削除オプション…」を押し、「次の期間が経過 …」を選択すると、指定した期間が過ぎると履歴情報を自動で削除できる(1)。指定できる期間は3カ月、18カ月、36カ月(2)。画面は「ウェブとアプリのアクティビティ」だが、「ロケーション履歴」と「YouTubeの履歴」も同様に設定できる

図7 図2で3項目をオフにするとグーグルがユーザーに合わせて提供する上記の機能も停止する。例えば、Google検索で過去の検索に基づく候補が表示されない、YouTube で自分の関心のある動画がお薦めされない、Googleマップで好みの飲食店が提案されないといったデメリットがある

独自の分析で広告表示、カスタマイズ停止も可能

広告事業者でもあるグーグルは、自社のアカウントを持つ各ユーザーに適した広告を表示する。「パーソナライズド広告」と呼び、アカウントに登録された個人情報のほか、検索したキーワードやYouTubeの視聴動画などの履歴から属性を分析。これに関連した広告を表示する。余計なお世話と感じるならオフにしてもよい(図8)。グーグルが分析した属性を確認し、興味がないジャンルはオフにできる。

ちなみに、マイクロソフトもグーグルと同様、Microsoftアカウントのユーザー向けに履歴情報の確認や削除ができるようにしている(図9)。

図8 グーグルが表示する広告は、Googleアカウントに登録した個人情報やグーグルが収集したウェブの利用履歴に基づいている。図2で「広告のカスタマイズ」を押すと、カスタマイズに利用するデータを確認でき、不要なジャンルは変更が可能だ(1、2)。そもそもグーグルが表示する関連性の高い広告が不要なら、「広告のカスタマイズ」をオフにすればよい

図9 マイクロソフトでもMicrosoftアカウントでサインインしている場合は、グーグルと同様に利用履歴を記録。Bing(ビング)での検索やEdgeでの閲覧履歴、OneDrive(ワンドライブ)の使用履歴などを収集している。上記のページから確認および削除が可能だ

(ライター 五十嵐俊輔)

[日経PC21 2022年7月号掲載記事を再構成]

タイトルとURLをコピーしました