ゲーセン閉店 消費増税だけが理由じゃない?

 いよいよ、消費税が5%から8%に引き上げられる4月1日が迫ってきました。駆け込み需要などの話題とともに、ネット上などで語られているのが「消費税増税でゲームセンターの閉店が相次いでいる」という噂。はたして、実情はどうなのでしょう。街のゲームセンターなどが加盟する業界団体『全日本アミューズメント施設営業者協会連合会(AOU)』に聞いてみました。
プレイ料金値上げは難しく
「そうですね。まだ正確な統計は出していませんが、消費税増税でゲームセンターの閉店に拍車がかかっているのは事実といっていいと思います。飲料の自動販売機は値上げするそうですが、アーケードゲーム(ゲーセンの据置型ゲームマシン)はワンコインで稼働するように作られているので、プレイ料金の値上げは難しい。増税分の負担は、ゲームセンターの営業努力で吸収するしかないのが実情です」(AOU広報担当:羽田氏)
 とはいえ「そもそも、2006年をピークにゲームセンターの売上や店舗数は減少し続けています」(羽田氏)というように、ゲームセンターの閉店が消費税増税だけのせいとばかりは言い切れない側面もあるようです。
郊外型店舗を閉める理由
 たとえば、ゲームセンター業界大手のアドアーズ株式会社によると、「消費税増税は厳しいですが、弊社のゲームセンターでは事前にコインを購入して遊んでいただくメダルゲームが主力ですから、増税に対応することは可能です。ゲームセンターのマシンは、コインゲーム、アーケードゲーム、クレーン(プライス)ゲーム、プリクラなどに大別されます。弊社の場合はそれほどでもありませんが、アーケードゲームの比率が高い小規模な店舗は厳しくなるのが現実でしょう」(広報担当:佐藤氏)ということです。
 また、株式会社ナムコでも、消費税増税とタイミングを合わせるかのように、仙台市、酒田市、与野市、名古屋市などの店舗を閉鎖することを発表しています。でも、この閉店は「消費税増税が理由ではない」(ナムコ広報担当:小野氏)というのです。
時間課金制など新しい試みも
「今期、店を閉めるのは駐車場があってクルマで来店いただくスタイルのロードサイド店が中心です。最近、若者がクルマで行動しなくなり、来客数の増加が見込めないという判断ですね。たしかに、消費税増税の影響は弊社全体で10億円規模のインパクトはあるでしょうが、ショッピングセンター内の店舗を増やすなどのスクラップ&ビルド、そして、時間課金制のアトラクションやキャラクター体験施設を増やすなど“品揃え”の工夫で、今後もゲームセンターの楽しさを訴求していきたいと考えています」(小野氏)
 若者のクルマ離れがゲーセン閉店の理由とはちょっと意外。いずれにしても、消費税増税で、ゲームセンターでの楽しみは、コインを投入して遊ぶマシンから、各ゲームセンターなどが工夫を凝らした、よりバラエティに富んだアトラクションへ広がっていく可能性があるといえそうです。
(寄本好則/三軒茶屋ファクトリー)

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