ゲーム業界、巨大ITと競う 仮想空間で先行狙う

【シリコンバレー時事】仮想空間「メタバース」の開発で、ゲーム業界と米巨大IT企業が競り合っている。 【写真】米歌手アリアナ・グランデさんが人気ゲーム「フォートナイト」内で開催した音楽ライブの様子  2028年には市場規模が約100兆円に成長すると見込まれ、ゲーム業界は人気作品を生み出す力、巨大ITはスマートフォンで築いた顧客基盤と資金力を武器に先行を目指している。  ゲーム業界では、離れた場所にいても友人らと交流や対戦ができるゲームを早くから手掛けてきた。人気ゲームの「フォートナイト」では20年に1530万人の同時接続を達成。メタバースの要件とされる人数制限なく参加できる空間が実現されつつある。  仮想現実(VR)ゲームを手掛けるThirdverse(サードバース、東京)の国光宏尚最高経営責任者(CEO)は「場を用意するだけではメタバースにならない」と指摘する。大勢を引き付ける娯楽が不可欠で、それこそがゲーム業界の強みだと語る。  一方、巨大ITでは交流サイト(SNS)最大手のメタ(旧フェイスブック)が参入。アップルやグーグルも仮想空間を体験できるゴーグル型端末を開発中と報じられている。機器や技術の開発に巨費が投じられれば、現実に近い空間を体験できそうだ。  ただスマホアプリの配信基盤を運営するアップルやグーグルはアプリ開発企業から最大30%の手数料を徴収しており、こうした手法をメタバースに持ち込むのではないかとの懸念もある。フォートナイト開発元、米エピック・ゲームズのスウィーニーCEOは「どんな企業もメタバースは所有できない」と早くもけん制している。 

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