茨城県産農作物が風評被害のせいで価格が下落し、スーパーや青果店では最大4割引で売られているところもある。そうした中、ネット上では安全が確認されている茨城県産のものを、積極的に買おうという呼びかけも出ている。
東京大田市場の相場は2011年3月18日~24日、コマツナ(埼玉県産)が86円、キュウリ(群馬県産)が1540円、レタス(茨城県産)が945円だった。震災前の3月4日~11日には、コマツナ(埼玉県産)が99円、キュウリ(群馬県産)が2205円、レタス(茨城県産)が1575円だったのに比べ大きく下落した。これは、3月21日・23日に福島県や茨城県産などの一部農作物について出荷制限され入荷が激減したうえ、風評被害のせいで葉物野菜を中心に買い控えられたからだ。
茨城県産イチゴが1パック200円
とりわけ、茨城県産農作物については、スーパーや青果店で置かれていなかったり、安い値段がつけられたりしている。女性会社員(47)が3月 26日、自宅近くにある都内の青果店に行くと、茨城県産キャベツ、トマト、キュウリ、イチゴが他産地のものに比べて、最大で4割ほど安い値段がつけられているのを見た。
「粒の大きい茨城県産イチゴ1パック(15個)が200円で、となりに置かれた静岡県産は350円。行った店は地域内でも安い価格をつけるので、ほかの店では600円ぐらいはするはず。こんなに安いのかと驚きました」
SNS「mixi」でも似たような話が出ている。都内在住の女性はスーパーで、山積みになったトマト、レタス、キュウリの産地を見たら茨城県産だったといい、大学院生(男性)も茨城県産レタスが3玉100円で販売していたのを確認。別の女性も、ふだんは1袋198円で売られた茨城県産コマツナが158円に値下がりし、レジに持って行くとさらに3割引になったと書いている。
J-CASTニュースが都内のスーパーで確認したところ、茨城県産レタスが特売価格の78円で売られていた。店員は「(茨城県産レタスは)だいぶ売れはじめている」と話す。
「風評被害が出ている茨城産野菜を買いたい」
茨城県ではホウレンソウ、パセリ、原乳の出荷を制限しているが、ネギ、キャベツ、レタス、ハクサイ、トマトなど18品目は放射線物質の値が暫定規制値内であることを確認している(3月26日現在)。にもかかわらず、茨城県産の農作物の値段が全体的に落ち込んでいることから、茨城県の「JA北つくば」は出荷制限されていない野菜の販売への協力を東京・大田市場に求めた。
「JA北つくば」の担当者は「憶測があるから混乱してしまい、買い手が不安がるのもわかります。売る側と買う側のお互いの信用が大切ですから、国には安全なものとそうでないものについて、はっきりとした対応、態度をとってほしい」と話している。
そうした中、茨城県産の農作物を積極的に買おうという動きも出ている。ツイッターでは「風評被害が出ている茨城産や福島産の野菜を応援のために買いたい」「風評被害で売れなくなる野菜も農家も可哀想」「茨城県産食べます!買ってます!」などの書き込みがある。
また、茨城県つくば市の農事組合法人「つくばブルーベリーゆうファーム」とNPO法人「つくばアグリチャレンジ」は2011年3月29日、安全基準を満たした茨城県産の農産物を詰めた「野菜ボックス」(2000円)の販売をはじめたばかり。「茨城県産の野菜を食べたくても近くのスーパーにないという遠方の人のために立ち上げた応援プロジェクトです」と担当者。立ち上げて間もないが、すでに三桁に届こうかという注文が寄せられているそうだ。