コメディ映画を地で行く 「謝罪代行業」による謝罪、利用者が急増!

宿題代行や家事代行といった代行サービスが続々と登場するなか、最近は「謝罪代行」が重宝がられ、利用者が急増しているようだ。
なにかトラブルがあった際に、本人に代わって謝罪してくれるほか、依頼主の家族や会社の上司になりすました謝罪も請け負ってくれるという。
「本気で謝る気ないでしょ!」って思うのは私だけ…
「謝罪代行」を利用する人が増えている!(画像はNHK「あさイチ」のホームページから)
「謝罪代行」を利用する人が増えている!(画像はNHK「あさイチ」のホームページから)
「謝罪代行業者」の存在が、インターネットで話題になっている。きっかけは、NHKの情報番組「あさイチ」が2014年8月27日に放送した「どうする? 謝罪のココロ」と題した特集。番組のアンケート調査によると、近所やママ友との関係で、4人に1人が謝罪をめぐるトラブルを経験している。
謝罪代行を利用する人の4割が女性。20代から40代で、「金銭や仕事、交際」のトラブルが多い、としている。
謝罪といえば、大ヒットしたTVドラマ「半沢直樹」(TBS系)の放送でブームになったのが「土下座」。2013年秋、衣料品店の店員にクレームをつけて土下座させた写真をインターネットにさらした女性客が、逆に一斉に批判されたことや、NHKが「クローズアップ現代」(13年10月8日放送)で「氾濫する『土下座』」を特集したことなどは記憶に新しい。
コメディ映画「謝罪の王様」(脚本、宮藤官九郎)では主演の阿部サダヲさんが自称「謝罪師」として、さまざまな依頼人に代わって頭を下げたり、誠意の示し方を指南したりする役柄が話題になったが、謝罪代行業はいわば、この映画を地で行くような「職業」のようだ。
こうしたビジネスが成り立つ背景には、他人と面と向かって接してこなかった人が増えて、「どのように謝っていいかわからない」という人が少なくないことがある。「人とのトラブルを自分で解決する力が欠けている」といえるが、インターネットには、どちらかといえば、謝罪代行に否定的な声が飛び交っている。
「それじゃあ、謝罪の意味ないじゃん」
「こんなのが商売になるのか」
「そんなの利用して謝っても、最終的には誰のためにもならないと思う」
「謝罪代行に依頼する時点で本気で謝る気ないでしょ! って思うのは私だけ…」
「プロの土下座師ってことか?」
といった具合。
半面、
「素晴らしいアイデアです!」
「これでトラブルが避けられるのであれば、利用したほうがいい」
などと、称賛の声がまったくないわけではない。
前年比20%増!「わたしの上司になって、代わりに謝って」
とはいえ、需要は少なくないようだ。
東京のある代行サービス業者は、「(謝罪代行は)8月は3件ほどありました」と話す。最近利用が増えていて、「今年は前年比20%増くらいです」と、急増している。
NHKの「あさイチ」に登場した謝罪代行業者の利用も、年間300件にものぼっていた。
前出の代行業者は、社長に成り代わり謝罪するケースが多いという。「社長も社員も自分一人で仕事しているという、自営業の利用が多いですね。たとえば、なにかトラブルが発生したときに、『わたしの上司として、代わりに謝ってもらえますか』といった依頼です」。
そんな依頼に、「部下が申し訳なく…」と、謝るそうだ。
また、消費者からのクレームに、「直接謝罪して、菓子折りを渡して商品を回収してほしい」との依頼もあるそうだ。
依頼があれば謝罪するが、「謝罪の仕方やノウハウをアドバイスすることもあります」と話す。
気になるのが、トラブルがこじれてしまったときだ。「あさイチ」でも、NHK解説委員の柳澤秀夫氏が「代理で謝っていることが相手にわかったら、とんでもないことになるよね」と、指摘していた。
この代行業者は、「たとえば身元を明かさない、こちらが聞いたことに答えられないといった、あやしい案件は受けません」と話し、依頼主との情報の共有、コミュニケーションを密にすることでトラブルを回避しているという。
ちなみに、この代行業者は謝罪のほかにも勤務先への休日の連絡代行、またお花見や花火見物の場所取りやコンサートのチケット取り、家事や力仕事などの代行サービスも行っている。

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