コメ産業強化へ新会社 秋田、宮城、岩手の農業6法人スクラム

秋田、宮城、岩手3県の農業関係法人6団体でつくる新会社「東日本コメ産業生産者連合会」(RIO東日本)の設立総会が11日、秋田県大潟村のホテルサンルーラル大潟で開かれた。コメの生産調整(減反)廃止や環太平洋連携協定(TPP)参加をにらみ、競争力を強化するため共同で販路拡大や生産効率化に取り組む。
 農協とは異なり、専業農家の経営支援に特化した事業を展開。全国1万3000の農業生産法人に出資や提携を呼び掛け、手始めに東北各県で3、4法人、計20法人程度を集める。
 社長に「大潟村あきたこまち生産者協会」(秋田県大潟村)の涌井徹社長、専務に舞台ファーム(仙台市)の針生信夫社長が就任。本社は大潟村に置き、資本金は1000万円。2、3年後には栽培面積で1万ヘクタール、コメの出荷量年5万5000トンを目指す。
 主な事業は(1)外食産業や加工業界などとの契約栽培の取りまとめや共同出荷(2)ファンド活用や金融機関と連携した資金調達(3)資機材の共同購入や機械リースによるコスト削減-など。農地集積支援や6次産業化、新規就農希望者へのサポートも行う。
 設立総会には農業のほか金融、物流、食品関係者ら約250人が出席。涌井社長は「日本の農業を再構築する。農業維新を東日本から全国に広めたい」と話した。
 ほかの参加法人は、登米ライスサービス(登米市)、仙台スカイアグリ(仙台市)、六郷アズーリファーム(同)、アグリコラボサークル(岩手県紫波町)。
◎「脱農協」農水省注視
 東北の有力な農業生産法人が設立した「東日本コメ産業生産者連合会」は、農協を中心とした旧来のコメ生産・流通に一石を投じる可能性がある。環太平洋連携協定(TPP)参加をにらみ、日本の稲作の競争力強化は不可欠となっている。賛同する大規模農家を募り、生産から販売まで自前で展開する取り組みに対し、農林水産省幹部は「脱農協をにらんだ新しい流れ」と指摘する。
 連合会は、肥料・農薬の共同購入や機械化による生産コストの削減、販売先の開拓、資金調達などでコメ生産者を支援する。いずれも農協が長年担ってきた業務を肩代わりする。
 農協の業務に対して非効率との批判が多く、組合員の農家が農協以外にコメを出荷したり、消費者に直接販売したりする「農協離れ」が加速していることも連合会発足の要因の一つ。
 同連合会の涌井徹社長は10月29日、政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)の農業作業部会に呼ばれ、農協改革について意見を聞かれた。政府内には「連合会は農協の役割を株式会社が効率的に代替できるかどうかのモデルケースになる」(内閣府幹部)との声がある。

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