コメ育ち「仙台牛」価値向上へ試験飼育挑戦 大崎・古川農協

古川農協(宮城県大崎市)の肉牛部会が、宮城県産米入りの配合飼料を使い、銘柄牛「仙台牛」の試験飼育を始めた。肉のうまみの向上で他のブランド牛との差別化を図るとともに、米どころの飼料米生産を支えて自給率アップに貢献するのが狙い。東日本大震災で始動は1年遅れたが、9月末ごろに肉質などを評価した上で、肥育を本格化させたい考えだ。
 和牛に米入り配合飼料を与えて出荷するのは、宮城県内で初めてという。北日本くみあい飼料(仙台市)と全農宮城県本部なども参加。肉牛部会員の肥育農家6軒の20頭と、全農県本部の実験農場「川崎肥育牛センター」(川崎町)の12頭の計32頭を対象に、4月から県産米入りの配合飼料を与えている。
 肉牛は生後34カ月程度で出荷される。今回は出荷前の半年間に米入り飼料を与える。米の配合率が10%と20%の2種類を用意し、与える牛を振り分けた。配合割合による肉質や食味への影響を調べるため、従来の配合飼料で育てている11頭とも比較、検証する。
 出荷は9月末の予定で、食肉市場での枝肉評価や肉牛部会員ら関係者による試食などを通じて、肥育を本格化させるかどうか決める。
 米入りの飼料で育った豚はオレイン酸が増えてうまみが増すとされる。牛肉の場合は「霜降りの色合いなど顧客によって見栄えの好みもある」(北日本くみあい飼料南東北支店)ため、多角的に検討する。
 当初は昨年4月に試験飼育を始める予定だったが、北日本くみあい飼料の石巻工場が被災し、延期を余儀なくされた。福島第1原発事故の風評被害などで枝肉価格が下落し、肉牛部会も対応に追われた。
 肉牛部会長の大友学さんは「自給率向上のため地場産の飼料米を使うのは肉牛産地の使命だ。新たな気持ちで食味と商品価値の向上を目指す」と話している。

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