コメ離れに歯止めかからず 13年産米の生産目標、2万トン減

日本の食卓のコメ離れに歯止めがかからない。農林水産省は2013年産の主食米の生産数量目標を2012年産に比べて2万トン少ない791万トンとすることを決め、各都道府県に通知した。
翌年のコメの生産調整(減反)のベースとなる生産数量目標が800万トンを下回るのは3年連続となる。国内のコメの需要量は1963年の1341万トンをピークに減少傾向が続いている。
日本のコメの消費量は半世紀で半減
コメの消費を国民1人当たりに換算すると、現在の私たちは1人当たり年間平均57.8キロのコメを食べている計算になる。1人当たりのピークは1962年の118キロで、コメの消費量は半世紀で半減したことになる。農水省はコメ余りを防ぎ、米価の安定を保つため、一貫して生産調整を行っている。
消費減退は、食生活の多様化や少子高齢化とされる。総務省の2011年の家計調査では、1世帯当たりのパンの購入額が精米を初めて上回った。ただし、これは家庭内で炊飯して食べる精米の購入額で、外食や中食の米飯は含まれていないので、単純に日本人の主食がコメからパンに代ったとは言い切れないが、コメ離れがすう勢として進んでいるのは疑いがない。一つは日本人が豊かになった結果、主食の米飯などより肉などのおかずをたくさん食べるようになったこと。もう一つ、少子高齢化のため、かつてご飯をたくさん食べていた世代が高齢となって消費量が減る一方、食欲旺盛な子供や若者の数が減っているためだ。
加えて、こうした若い世代はご飯よりパンや麺類などを好む傾向が統計からうかがえる。この食生活の変化が、小麦などの輸入を増加させた結果、日本の食料自給率は39%という主要先進国で最も低いレベルになった。
生産調整に従っていないと戸別所得補償はもらえない
農水省は毎年11月末、来年度産米の生産数量目標を決定し、都道府県に通知する。各都道府県は配分ルールを決め、市町村を通じて最終的に各農家の配分を決める。これが生産調整(減反)だ。もちろん、現在の農家は市町村が定めた生産調整に必ずしも従う必要はない。減反しなくてもペナルティーはないからだ。たくさんコメを作って、独自のルートで売れるのであれば問題はない。
しかし、生産調整に従っていないと、民主党政権で始まった戸別所得補償はもらえない。戸別所得補償は生産調整を行うコメ農家に10アール当たり1.5万円の交付金を支給するほか、不作となった場合に農家の所得を補償する制度などもある。
生産調整は主食米が対象となるため、コメを生産したい農家は加工用米や家畜のエサとなる飼料用米、米粉用米などを作れば問題はない。民主党政権はコメ余りを回避する一方、食料自給率を引き上げるため、これら主食用以外のコメを生産するよう農家を誘導しており、戸別所得補償制度では主食用米よりも高額の交付金を支給している。農家が水田でコメを作るのをやめ、麦、大豆などへ転作することも促しているが、いずれにしても食料自給率の向上には結びついていないのが現実だ。

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