コロナ「抗体」長続きしない? 3カ月後の持続患者は16.7%

新型コロナに感染して一定期間を経て得られる「抗体」はあまり長続きせず、数カ月でなくなる可能性が指摘されている。

 3都府県の約8千人に対して6月に抗体検査を実施したところ、抗体の保有率は東京都が0.10%、大阪府が0.17%、宮城県が0.03%だった。加藤勝信厚生労働相は「新型コロナに対して、どの程度の防御機能を持つのかなどについて、国立感染症研究所でさらに精査する」などと語った。

 そんななか、英ロンドン大学キングスカレッジの研究チームが、コロナの抗体に関する調査結果を公表した。感染患者90人超のうち中和抗体が高いレベルで持続できている人は、調査開始から3カ月後に全体の16.7%にとどまったという。中和抗体とはウイルス感染の“阻害機能”があり、免疫を獲得したことを意味する。

 ある専門医は、この免疫力の持続性について「わからない」としながらも、次のように話す。「抗体が減少しても、免疫の記憶が残っていて、防御力は残っている可能性があります。その後の感染に際し、抵抗力が残っていて重症化しにくい可能性はあります」

 イタリアの医師らからも、新型コロナの後遺症に関して報告された。体調が回復して退院した143人のうち87%が、疲れや呼吸困難といった症状を抱えている、というのだ。

 回復してもだるさや胸の痛み、味覚・嗅覚障害などの後遺症が懸念され始めているが、前出の専門医は「国内で3万人近い新型コロナの感染者がいて、後遺症についてはあまり聞こえてきません」。

 日本呼吸器学会は7月、呼吸器を中心とした後遺障害に関する調査を始めると発表した。新型コロナの呼吸器の後遺障害については、イタリアやフランス、中国からも対象患者の約半数で異常があると報告されている。「頭痛や発熱、嗅覚障害、睡眠障害など、さまざまな症状が残っている患者さんもいるようだ」(日本呼吸器学会)という。実態はまだまだ謎に包まれている。(本誌・浅井秀樹)

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