コロナでバレた「実は全然働いていない人」過酷なリストラは年内にも

気がつけば新型コロナウイルスの騒動が本格的になってからすでに四半期が経とうとしています。このままいくとコロナの影響を大きく受けながら半期が終わり、人事評価などのタイミングに突入。勤務形態が大きく変わった会社だと「とりあえずよくわからないから今までの成行を踏襲しよう」という判断のもと、ドライな変化が起こることはないかもしれません。

 ただし、以前の記事で話題にした在宅勤務中の定時連絡すらままならず、行方をくらましてしまっている「テレワーク忍者」は確実にロックオンされていて、いかに円滑に戦力外通告を突きつけるか、その手順を思案されている状況にすでにある可能性は高いです。

◆大幅減収で企業に求めらる対応策

 従来の評価が低い人、ローパフォーマーとされる人に加えて新たなリストラ候補となるテレワーク忍者たちの扱いについては、会社の置かれている状況によって進み具合は異なりますが、ひっ迫している会社であれば予想以上に早期に退職勧奨に合うと予測しています。

 上場企業であったり、株主がしっかりした会社であったりすると業績についての報告を対外的に行う必要があり、その際に「コロナの影響が甚大でした。以上」では済まされません。「それに対するリカバリーの方向性、具体策」が求められます。そのために、「これを機に仕事の在り方を見直して、スリム化を進めます」という錦の御旗の犠牲になります。

 その目論見は、実際に社員の数を減らさない限り、決算時の情報には反映されないので達成されません。しかも、過去最大級の規模が必要です。そのためのターゲットに、今までのローパフォーマーに加えて、今回のコロナ禍で判明したテレワーク忍者こと「実はいてもいなくても結果的に会社にとって変わらない人たち」がターゲットに入ってきます。

 少し余裕がある会社でも、健全に持続的成長を目指している会社であれば段階的に給与を下げていくようにしていくでしょう。

◆クビ候補はどう決まるのか?

 ターゲットになりうる人たちには、すでに裏で上司に指示が出ている可能性がありますが、あからさまに遠隔参加の会議に呼ばれなくなったり、あるいは逆に出させたうえで徹底的に結果の達成度合いをチェックされてたりしながら、「何もしていない」という証拠集めをされていくでしょう。上司の側もうかうかしていられません。さらにその上の上司というのもいるからです。

 クビになる候補は、まず①前々からリストアップされていた「ローパフォーマー」です。次いで、②非管理職の「テレワーク忍者」。今までは隠れていられましたが、会社の具合が悪くなって、ちょっと本気で探されるとリモート体制下ではあっという間に見つかってしまいます。実はふらふらしていただけだったり、あるいはそのまま部下や後輩のアウトプットをスルーパスしていた転送プレーヤーは誰にも守ってもらえず、存亡の危機を迎えます。

 その次はいわゆる中間管理職にあたる③「調整能力ばかり高くて、結果へのコミットが薄い人」が候補になります。調整能力というと聞こえはいいですが、言ってみればいろいろな人との会話する力はあるため、なんとなく何かを「やっている感」を演出するのは得意ですが、自部門の結果が出れば自分のおかげ、出なければほかの何かのせいにする報告を上げることに全力を注いでいる……というよくあるケースです。

 今までは権力者の覚えがめでたかったですが、行動がガラス張りになることで実は自分の部下さえいれば済むことがバレかねず、ごまかしがきかなくなってしまいます。

◆コロナリストラを回避するには…

 これからの対応は、①の人は以前からターゲットになっていたこともあり、なかなか自社内で生き残るのは厳しいと言わざるえません。割り切って次を探すことに全力を注いだほうがいいでしょう。②と③は、今が正念場です。皆がテレワーク環境に対して新鮮さを感じていて、いろいろな発見を共有し始めているこのタイミングが勝負どころになります。

 すでにいろんな人に「あの人、実はほぼ働いていないよね?」と気づかれてはいますが、言語化され、話題になってしまうともう止まりません。その前に「あっ、それでもこんなこと、言っていたよ」というような爪痕をチャット空間にでも残しておけば延命できる可能性はあります。

 管理職でいえば、プロジェクトマネジメントのコツをつかむことがわかりやすいので、「自分の管轄には現在、こんな中期短期の課題があり、これからこれくらいの時間軸でこんな結果が出せます」というスケジュール感を常にアピールすればいいでしょう。非管理職の人たちは、一刻も早く、自分が何を直接的に地道に取り組むか覚悟を決め、「私、これをやります!」と宣言することです。まだ体が動く世代ですから、自社内で生き残りたければ、頑張るしかありません。

 最も厳しいのは60代前半で定年延長をしたタイプのホワイトカラーでしょう。非常勤やワークシェアなどで年金がもらえ始めるまでの数年をしのぐ場をなんとか確保したと思ったら、コロナショックにより市場と会社が冷え込みました。

 リーマンショックは金融市場が荒れてから実需に響くまで時間がありましたが、実需が突然消えるような昨今のスピード感は高齢者には特に厳しいのにもかかわらず、毎月わかりやすい結果を出さないといつクビになるかわからない状況に陥ってしまったわけです。しかし、「現役世代よりは生活に困らないでしょう?」という暗黙の共通認識が社内にもあるため、その世代が優先して救済される可能性は残念ながら極めて低いでしょう。

【中沢光昭】
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインをした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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