コロナの影響?九州の大気が劇的改善 汚染物質の飛来が減少か

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 九州上空の大気汚染が劇的に改善-。福岡工業大環境科学研究所(福岡市東区)が昨年末から今春にかけて九州山間部の樹氷に含まれる汚染物質を調査したところ、こんな傾向が明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国で工場や交通が止まり、飛来する汚染物質が減ったためとみられる。大気を浮遊しながら地球規模で移動するマイクロプラスチックの量も減少していた。

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 調査は同研究所の永淵修客員教授と中澤暦研究員の研究チームが行った。永淵さんは長年、大気中の水蒸気が樹木の表面で凍結する樹氷に着目。特に、九州の樹氷は寒波が過ぎると溶けて地面に落ちやすく「どの寒波による樹氷なのか特定しやすい」として、大気汚染の越境ルートを調べるために使ってきた。

 昨年12月以降、中国大陸上空を通過する寒波の流れ込みに合わせて、九重連山(大分県)と韓国(からくに)岳(宮崎県)で発生した樹氷を計7回採取。含有成分を分析した結果、大気汚染の一因となる窒素酸化物と硫黄酸化物の比率が今年4月は2010年以降の最高値に比べて10分の1以下だったことを確認。1990年代の値よりも低かったという。

 永淵さんによると、工場生産や交通量の減少に伴う大気汚染の軽減は想像がつき、コロナまん延と大気汚染改善との相関関係の研究は都市封鎖が行われた中国や欧州でも進められている。ただ、大陸レベルで移動する大気の改善事例はまだ報告がないという。

 研究チームは昨年、九州で初めて福岡市上空などの大気中から、マイクロプラスチックを検出。今年1月までは大気1リットル中に10万~20万個含まれると推測されていたが、2月には数万個程度にまで減ったことも確認した。

 永淵さんは「越境する大気汚染が新型コロナによる生産活動停止で改善されたことがデータ的にも裏付けられた」としている。

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