コロナワクチン接種後死亡、宮城の救済申請は17件 遺族の情報公開請求で判明

体調不良で医療費申請は148件

 新型コロナウイルスワクチンの接種後に死亡した人の遺族が、国の予防接種健康被害救済制度に基づく死亡一時金の給付を宮城県内の市町村を通じて申請した件数が5月末現在、17件あったことが14日分かった。接種後の体調不良で治療にかかった医療費を申請した件数も148件に上った。

 接種3日後に夫が急逝し、同制度で死亡一時金などの認定が出た大和町の須田睦子さん(35)が、県への情報公開請求で入手した資料で判明した。

 県内で接種が始まった2021年2月から今年5月末までに死亡一時金と葬祭費の給付を申請した17件のうち、「ワクチンとの因果関係が否定できない」として認定されたのは2件。死因は心筋梗塞と急性循環不全が各1件。残りの15件は審査中か審査待ち。

 対象者の居住市町村は仙台市が3人。14人は「対象者や遺族の特定につながる恐れがある」といった理由で非開示だった。

 医療費を申請した148件のうち認定は34件、否認(不認定)が10件、審査中か審査待ちが104件。認定された病名はアナフィラキシーが12件、急性心筋(心膜)炎5件、めまい4件、運動障害や感覚まひが急激に進むギラン・バレー症候群など神経系の症状が3件など。

 須田さんは「被害を訴える人がこれだけ多く確認されている異常事態。接種後の症状に苦しむ人も少なくない。救済制度を知らない人もいるので、表面化した数字は氷山の一角と見るべきだ」と訴えた。

 県新型コロナ調整室兼新型コロナワクチン接種推進室の見田茂紀室長は「感染の拡大期は重症化予防効果を期待し、ワクチン接種を推進した経緯があるが、今後は副反応の情報もセットで県民に公表していく必要があると考える」と話す。

 首相官邸によると、県内のコロナワクチン総接種回数は今月11日時点で、748万3855回。

夫亡くした女性が宮城県に実態調査を要望

 県民のワクチン接種後の健康被害に関する実態調査を行うよう、須田さんは14日、県に要望した。須田さんは「ワクチンで命を落としたり、長引く健康被害に苦しんだりする人も出ている。安全が確認できない以上、接種は直ちに中止すべきだ」と訴えた。

 須田さんは(1)接種後の死者数(2)接種後1週間以上体調不良が続く後遺症とみられる人数(3)国立感染症研究所が公表する「超過死亡」のデータに基づく県内の死亡状況と接種との関係分析-を要請。(1)と(2)は接種の時期や回数も調べるよう求めた。

 対応した志賀慎治保健福祉部長は「法令上、コロナワクチン接種は国の指示に基づいて実施しているため、県の判断で中止できない。要望内容を国にしっかり伝え、接種についても県民の判断に役立つ情報提供を心がけたい」と話した。

[超過死亡] 実際の死者数から、過去のデータを基に統計的に予測された死者数を差し引いた数値。例年の水準からどれだけ上回っているかを示し、感染症流行の大きさを見る手掛かりの一つとなる。日本では国立感染症研究所が分析、公表している。

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