新型コロナウイルス感染拡大に伴い、宮城県外在住者に成人式の参加自粛を要請したのは、4日時点で県内35市町村のうち仙台市だけだった。首都圏の1都3県に対する緊急事態宣言発令を注視しつつも、参加自粛の要請は「差別につながる」とためらう自治体が多い。6市町は感染状況が見通せないとして延期を決めた。
35市町村の成人式は表の通り。8割の28市町村が感染対策を講じた上で10日に開催する予定だが、緊急事態宣言の動向などを踏まえ、七ケ浜町は5日、角田市と利府町は6日に改めて可否を判断するという。
仙台以外の自治体は今のところ、県外の新成人に参加自粛を求めていない。東松島市は「緊急事態宣言が出ても本人の自己判断に任せる。入り口で検温するなど対策を取っており、自粛要請は必要ない」と話す。
大河原町は「差別のような形になってしまう」と否定的。美里町も「1都3県の新成人は、そもそも移動を自粛するだろう」とみる。東日本大震災で被害を受けた南三陸町は「町内に残る新成人は半数以下。参加自粛を求めたら式典を開く意味がない」と言い切る。
ある自治体の担当者は仙台市の自粛要請に関し「自治体が行事を開催しておきながら『来ないで』とお願いするなんて無責任。どの地域にいても感染のリスクはあり、自粛要請は根拠に乏しい」と疑問視する。
ただ、多賀城市や岩沼市、白石市などは緊急事態宣言が出た場合、1都3県からの参加自粛を呼び掛けることも視野に入れる。
一方、延期を決めたのは気仙沼、登米、栗原、大崎の4市と亘理、加美両町。10月に延期した気仙沼市は「(新成人の)帰省により、家族や友人が集まる状況を懸念した。成人式開催による感染拡大を心配する声もあった」と明かす。
来年1月に先送りした登米市の担当者は「ワクチン接種がお盆に間に合う可能性は低く、特に若者は後回しにされる。安心して成人式を開催できる状況ではないと判断した」と語った。