コロナ下の結婚式様変わり 人気は屋外、写真撮影のみ

新型コロナウイルス下で、東北でも密を避ける形式の結婚式や披露宴が浸透している。人気は屋外での挙式で、式を挙げずに写真撮影だけで済ますカップルも少なくない。新郎新婦が車で家族や友人の元を訪れるツアーも生まれるなど、門出の形は多様化している。(生活文化部・柏葉竜)

新郎新婦の「親族宅ツアー」も

 名取市の生島徹さん(27)と彩さん(24)は5月28日、仙台市太白区のホテルクレセントで結婚式を挙げた。中庭を会場とした「ガーデンウエディング」。青空の下、家族ら約30人を前に永遠の愛を誓った。

 屋外での開催について「密を避けたかった」と徹さん。コロナの影響で当初予定から2年遅れの挙式となり、彩さんは「ようやく実現できて幸せ」と喜んだ。

 式をプロデュースしたリアンウエディング(仙台市)代表の熱海千鶴さん(42)は「コロナ以降、依頼を受けるカップルの半数は屋外での挙式を希望する」と話す。

 結婚情報誌「ゼクシィ」が昨年4、5月、宮城、山形両県内で結婚式へのコロナの影響を調査した結果、「開放感が感じられる会場を選択した」は17・3%。密対策としては「一部オンラインにした」(12・2%)、「(同日中に時間をずらして複数回実施する)2部制にした」(1・0%)を上回った。

 青葉区のホテルメトロポリタン仙台では、カップルがドレスやタキシード、和服を着て写真を撮る「フォトウエディング」の人気が高い。コロナ前の利用はゼロに近かったが、感染拡大以降は年30~40件ほどの申し込みがある。

 撮影後、同行した親と一緒に夕食を共にして宿泊するカップルも多い。同ホテルの婚礼支配人白井宏幸さん(39)は「ホテルとしての総合力を生かし、お客さまのニーズに寄り添いたい」と言う。

 挙式の代わりに新郎新婦が親族宅などに出向く「ウエディングツアー」も登場している。企画したのは祝い事をプロデュースする「石巻ウェディング」(石巻市)代表の豊島栄美さん(37)。人を集めず、幸せな2人の姿を披露するためのアイデアだった。

 ツアーは、正装した新郎新婦が思い入れのある場所や実家、祖父母の家などをスタッフが運転する車で巡る。それぞれの場所で新婦の手紙を読んだり、引き出物を渡したりする。2020年以降約10件の実施例があるという。

 「多くの人にとって結婚は一生に一度のこと。コロナ下だからといって、お世話になった人に感謝の気持ちを伝える機会をなくしてはいけない」。豊島さんはツアーに込めた思いを語った。

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