コロナ大統領夫妻、トランプ感染 「直ちに自主隔離」

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は2日、ツイッターで新型コロナウイルスに感染したと明らかにした。大統領の主治医は1日付のメモで、同日夜に感染を確認したと説明した。新型コロナへの危機管理の不備が露呈し、11月3日に迫った大統領選に向けた選挙活動にも影響が及ぶのは確実だ。

トランプ氏はメラニア大統領夫人も感染したとツイッター上で説明し、「ともにこれを乗り越える!」と書き込んだ。主治医のメモは「大統領夫妻はこの時点では元気で、回復に向かう間はホワイトハウスの邸宅にとどまる計画だ」と指摘。そのうえで「引き続き、職務にあたることができると判断している」として、職務に支障はないとの見方を示した。

トランプ氏らの感染の経路は明らかになっていない。1日にはトランプ氏の側近であるホープ・ヒックス氏の感染が判明。トランプ氏も検査を受け、自主的な隔離をとっていた。米政権の中枢であるホワイトハウスで感染が広がっている可能性がある。

政府高官の多くが、自主隔離を迫られることも想定される。米疾病対策センター(CDC)の指針では、感染者と接触した場合には原則2週間の自主隔離を求めているからだ。ヒックス氏はトランプ氏の長女であるイバンカ大統領補佐官や夫のクシュナー大統領上級顧問に近い。

ホワイトハウスは2日、トランプ氏の感染を受け、同日に予定していた首都ワシントンでの支持者との会合や南部フロリダ州での集会をキャンセルした。

トランプ氏は公の場でほとんどマスクをしてこなかった。コロナ禍の中でも大統領選に向けて対面での集会を相次いで開き、民主党候補のバイデン前副大統領を追撃する方針だった。大統領選の投開票日が1カ月後に迫るなか、自主隔離で選挙活動の中断を迫られることは、再選に向けて大きな痛手となりかねない。

トランプ氏は1日のFOXニュースのインタビューで、ヒックス氏の感染に関して「我々が素晴らしい仕事をしているから軍人や警官は私たちに抱きついたり、キスをしたりしたいと思っている。近づくからこういうことが起きる」と説明した。新型コロナへの危機感は相変わらず乏しく、ワクチンが近く、開発されるとの楽観的な見通しも改めて示していた。

ホワイトハウスではこれまで、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)やペンス副大統領の報道官を務めるケーティー・ミラー氏が新型コロナに感染したことが判明している。

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