コロナ感染、若年層の割合増加 静岡県内で「第2波」との見方も

静岡県内で新型コロナウイルスの感染の拡大が続いている。5月にいったん落ち着いたものの、7月に熱海市で県内初のクラスター(感染者集団)を確認。以降は1日に最大で30人の感染が明らかになるなど、「第2波」との見方も広がっている。「第1波」とされる6月以前と比べると、感染者の若年齢化が進んでおり、県疾病対策課は「クラスターの発生などで感染者の主な年代が高齢者から若年成人に移行した」とみる。【古川幸奈】

 県によると、7月1日~8月15日までに県内在住者の328人の感染が確認された。6月以前の4カ月間の感染者数(76人)の4倍となっている。感染者を年代別でみると、7月以降は20代が81人と最も多く、40代が65人、30代が55人。20~40代で全体の6割を占めた。6月以前は60代の感染者が最多の17人だった。なぜ若年層の感染者数が増加したのか。県はその理由について、PCR検査(遺伝子検査)数の増加を挙げている。

 県疾病対策課の後藤幹生課長は「検査数の限界で対応できていなかった若年層をはじめとする幅広い年代の軽症、無症状の患者までカバーできるようになった。優先的に検査を行っていた60~70代の比率が相対的に下がった」と説明する。県内で1日に可能な最大検査数は、6月1日時点で約600検体だったが、対応できる医療機関が増えて、約1100検体になった。7月30日は県内で最多となる483件の検査が行われたという。

 クラスターの発生も若者の間で感染が広がっている原因の一つとみられる。7月中旬以降、熱海、浜松、富士、静岡、御殿場の5市の8カ所でクラスターが起きた。特に浜松市のキャバクラは20代の従業員や客をはじめとする51人が感染する県内で最大のクラスターとなった。いずれもマスクの装着や換気が不十分な状態で会話やカラオケをしていたことが原因とみられ、県は飲食中は話したり歌ったりしないように呼びかけている。

 静岡市も若者の感染に神経をとがらせる。7月2日に2カ月ぶりに感染者が確認されたため、市は2月28日から5月1日を感染の第1期、7月2日以降を第2期と分類。20代の感染者は、第1期で5%(1人)だったが、第2期になると、33%(16人)に上っている。田辺信宏市長は19日の定例記者会見で「若い世代と無症状の感染者が増え、感染の自覚がないまま、不特定多数と接している可能性がある」と警鐘を鳴らした。

 このため、夜間に若者をはじめとする市民が集まる居酒屋やバーの協力を仰ぐことで、新型コロナの感染拡大防止を進めようと、市は対策に取り組む店にステッカーと宣言書を配布することを決めた。対象は市内の約2700店舗となる。店は市の作成した対策の項目を自主点検し、市食品衛生協会などに申請すると、ステッカーを受け取ることができる。申請は営業するための義務としない。

県内で発生したクラスター 18日時点

 発表日   発生地   業態       1次感染者

(1)7月17日 熱海市   カラオケラウンジ 13人

(2)  24日 浜松市   キャバクラ    51人

(3)      浜松市   マジックバー    9人

(4)  28日 熱海市音楽 カフェ       9人

(5)  31日 富士市   ホストクラブ    6人

(6)8月12日 浜松市   スポーツジム    5人

(7)      静岡市   飲食店       5人

(8)  17日 御殿場市  キャバクラ     5人以上

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