厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合が21日開かれ、感染状況を「全国的にこれまでで最も高い感染レベル」と評価した。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後の記者会見で「新規感染者数は全国的に今後、過去最多を更新していくことも予測される」と危機感を示し、「感染リスクを伴う接触機会を可能な限り減らすために、それぞれが感染しない、感染させない方法に取り組むことが必要だ」と強調した。 【脳血流に異常か】コロナ後遺症で考えられるメカニズム 感染はすべての都道府県で急拡大している。20日までの1週間の全国の新規感染者数は前週比1・72倍で、勢いは続いている。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は沖縄県が1656人と最多で、熊本県965人、島根県911人と続いた。 感染者急増の一因と指摘されるオミクロン株の派生型「BA・5」について、感染研は今週時点で96%を占めるとの推計を示した。 病床使用率(19日時点)は沖縄県が74%で最も高く、熊本県65%、和歌山県59%、滋賀県57%、島根県53%となっている。 厚労省によると20日時点の重症者は189人と低い水準だが、前週の約2倍になった。専門家組織は「療養者数は増加し、病床使用率は総じて上昇傾向にある。重症者数や死亡者数は低水準だが増加傾向にある」と指摘した。 脇田座長は、社会経済活動を維持する中でも、国民一人一人の感染対策が求められるとの議論があったとした。具体的には、人と人との接触機会を減らすためにテレワークを進めることや、イベントや会合の主催者は地域の流行状況や感染リスクを十分に評価し、開催の可否を含めて検討することなどを提案した。日常的な感染対策として、マスクの正しい着用、換気の徹底、大声を出すような感染リスクの高い場面を避けることなどを求めた。【金秀蓮】