政府が緊急事態宣言を出す際の根拠となった新型コロナウイルス対応の特別措置法について、朝日新聞が47都道府県の知事にアンケートしたところ、約7割の34知事が「改正が必要」と答えた。「必要ではない」としたのは2知事にとどまった。具体的な改正内容(複数回答可)として最も多かったのは、26知事が挙げた「休業要請・指示に対する補償規定」だった。 朝日新聞が今月、政府の緊急事態宣言などについて47都道府県の知事にアンケートし、全員が回答した。 特措法の改正が「必要」と回答したのは神奈川、愛知、大阪、福岡など34府県の知事。改正内容で「補償規定」に続いて多かったのは、休業要請に応じないパチンコ店などが課題となった「要請・指示に応じない場合の罰則規定」で、25知事が挙げた。 また、理髪店や百貨店などの休業要請の範囲をめぐって政府と東京都が対立するなど知事権限のあいまいさが指摘された「休業要請・指示における国の総合調整と知事権限の明確化」を選んだのは21知事。東京都の小池百合子知事は、改正の必要性については「その他」と回答したが、休業要請などの知事の裁量権の拡大を国に要望していることを記述した。 ■私権の制限、慎重な意見も 一方、小池氏のほか「その他」と回答した10知事の中には、私権の制限につながる特措法の改正には慎重な意見もあった。秋田県の佐竹敬久知事は「移動や営業の自由は国民の権利であり、現行の法体系では罰則規定は難しい」と記述。滋賀県の三日月大造知事も「罰則を伴う私権の制限など、今回の経験を踏まえ、国民的な議論の上での判断が必要」と答えた。 特措法改正を「必要ではない」と答えたのは静岡、大分の2知事。広瀬勝貞・大分県知事は「特段問題となるような事案は発生しなかった」と回答した。 また、感染拡大の「第2波」に備え、緊急事態宣言を再指定する際の具体的な数値基準については、全体の5割超の26道府県の知事が「国が示すべきだ」と回答。「示すべきではない」としたのは和歌山、大分の2知事だった。政府は再指定について、直近1週間の(1)10万人当たりの累計感染者数(2)感染者が2倍に増える日数(倍加時間)(3)感染経路が不明の割合――という指標を中心に「総合的に判断する」としているが、より明確な数値基準を求める声が多いことがわかる。 政府が4月に宣言の対象を全国に拡大したことについては、「必要があった」が44道府県の知事で、多くが感染拡大防止のため、都道府県境を越える移動抑制の必要性を理由に挙げた。「必要はなかった」と回答した知事はいなかった。 宣言の解除にあたり、政府が「直近1週間の新規感染者が10万人あたり0・5人程度以下」を目安に医療提供体制などから総合的に判断したことについて、判断基準が「明確だった」と答えたのは22道府県の知事。各都道府県ごとの解除のタイミングは、39府県の知事が「適切だった」と回答した。コロナ対応のため、特措法に基づかない独自の外出自粛・休業の要請は、30都道府県の知事が実施したと回答した。