コロナ疎開に戦々恐々 感染確認ゼロの岩手、「水際対策」に尽力

新型コロナウイルスの感染者が急増する都市部から逃れてくる「コロナ疎開」が問題視されている。全国で唯一感染者が確認されていない岩手県では、行政や事業者、県民が「水際対策」を講じつつ、戦々恐々としながら事態を見つめる。

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達増拓也知事は10日、定例記者会見で「緊急事態宣言が出ている地域からの来県者に2週間の不要不急の外出自粛を要請した」と強調した。

 その上で「不安がある県民は予防のため、知らない人にむやみに近づかない、(密閉、密集、密接の)3密を避けることを徹底してほしい」と呼び掛けた。

 県からの依頼を受けJR東日本盛岡支社は10日、盛岡駅構内と県内の新幹線発着駅6カ所に「岩手県からのお知らせ」と書かれた掲示板を計30個設置。緊急事態宣言の対象地域からの利用客には外出自粛、海外渡航歴のある利用客には2週間の自宅待機を求めた。

 岩手県北バス(盛岡市)は、青森、岩手両県と東京方面を結ぶ5路線の高速バスのうち4路線を運休。首都圏からの流入を減らしつつ、乗務員の検温義務化や利用客へのマスク配布などの感染予防策を講じる。

 県北の道の駅の関係者によると、7都府県で7日に出された緊急事態宣言の前後から首都圏ナンバーの車両が増えたという。「本来は大勢の客に来てほしいのだが、そうPRできる状況ではない」ともどかしそう。盛岡市内では「県外からのお客さま ご遠慮願います」と張り紙をした飲食店もある。

 県内で感染者は確認されていないが、岩手医大病院感染制御部の桜井滋部長は「感染者は確実に存在する。既に治癒した人もいると思う。(確認ゼロは)偶然と言えるかもしれない」と説明する。

 県のPCR検査の実施件数(8日現在)は121件で全国最少。桜井氏は「感染の連鎖が生じておらず、依頼数も少ない。必要性も少ないだけ」と指摘する。

 県民に不安が広がっている状況に「マスクや消毒液、差別は(自分を)守ってくれない。基本は外出しないこと。自分を律すること」と強調。体調の異常を感じたら家にとどまるように呼び掛ける。

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