コロナ禍をきっかけに、家計を見直そうと考える方は多いのではないでしょうか。どこをしぼるべきなのかを考える際、富裕層の無駄遣いを徹底的に排除する生活は参考になります。幅広い年齢層の富裕層との交流が多い午堂登紀雄さんが、彼らがお金を使わないモノやコトを紹介します――。
■価値がないものにはビタ一文払わない
富裕層は豪快にお金を使うとか、反対にケチという印象があるかもしれませんが、実態はどうなのでしょう。
彼らは、自分が価値を認めるものには出費を惜しまない一方、そうでないものにはビタ一文お金を払いません。価値と価格に差があると感じたら、その差を縮小すべく交渉します。
だから羽振りが良く見える一方で、一般人から見ると「ケチ」と感じるわけです。重要なのはお金を使う軸を持つことであり、まんべんなく生活レベルを上げるのは没落の元です。
そこで、最近の富裕層に見られる「彼らがお金を使わないモノ・コト」をご紹介します。むろん富裕層に限らずやっている人も多いと思いますが、自身の消費傾向を振り返るきっかけになればと思います。
■1.固定電話を持たない
基本中の基本といいますか、若い世代には当たり前になってきましたが、富裕層も固定電話を持たなくなっています。スマホがあれば十分だからです。
以前はローンを組む際や銀行口座を作るときに固定電話の番号を記入しなければならないこともありましたが、いまは携帯番号で大丈夫です。
むしろ固定電話がないことで、振り込み詐欺などに遭うことも防げますから、必要性について再考してみても良いでしょう。
■2.スマホは格安SIM
若い富裕層の間では、「大手キャリアでスマホ契約をしている人はITリテラシーが低い」と映っています。もちろん電話で話す時間が非常に長い人は大手キャリアのほうがメリットがあるかもしれませんが、いまの富裕層は電話はほとんどしないですから、格安SIMでも十分でしょう。
私もかつてスマホと言えばiPhoneしかなく、かつソフトバンクモバイルしか扱っていなかった時代は、夫婦二人で月25,000円もの通信費がかかっていましたが、いまは4台(うち2台はデータ通信用)で1万円を切っています。
■3.テレビを持たない(NHK受信料がかからない)
テレビは時間当たりの情報量が非常に少なく、娯楽やヒマつぶし以外の目的の場合は非効率です。また、世の中で起こっていることを知るにはネットニュースでも十分代替できますから、あえてテレビを観る必要がありません。そのためテレビを持たない富裕層は少なくないのですが、当然ながらNHK受信料がかかりません。
■4.新聞を購読しない
これもテレビと同じような理由ですが、広く浅く社会の動向を知ることができると言っても、自分が興味のない情報に触れたところで何も記憶に残りません。
たとえば3日前の新聞のトップページに載っていたニュースを覚えている人は多くないでしょう。その程度のものにお金を払うのはもったいないしその時間も無駄と考えている富裕層は、特に若手を中心に増えています。
なお、証券口座を開設すると、日経テレコンが無料で読める証券会社もあります。
■5.財布を持たない
クレジットカードは言うに及ばず、電子マネーカードやQRコード決済もスマホで完結する時代ですから、もはや物理的に現金を持ち歩く必然性がありません。
キャッシュレス決済ならポイント還元が受けられるうえ、ATMに並んで現金を引き出す手間もかかりませんから、値引きと時間の節約という二重の効果があります。だからもう、財布を持たない富裕層が増えているのです。かつて言われた「お金持ちは長財布を持つ」という話が都市伝説になる日も近いでしょう。
■6.プラチナカードやブラックカードを持たない
仕事などで頻繁に海外に行く人はともかく、普通の富裕層にとって年会費が10万円や30万円もする上位カードを持ったとしても、その金額に見合う恩恵を受けられる人はほとんどいません。
かつてはカードの色がステイタスシンボルになっていた時代もありますが、今の富裕層にはそんな見栄はなく、極めて合理的で現実的。なので、年会費無料など、よりローコストで高還元率のカードを選ぶ傾向があります。
■7.お中元・お歳暮・年賀状を送らない
昨今はSNSで常時つながっている時代ですから、相手の近況も知っています。なので、あえて改めて時候の挨拶をする必要がありません。
そのため、かつて主流だった礼儀や感謝を伝える方法としてのお中元・お歳暮・年賀状などは送らなくなっています。会社を経営している人や年配の顧客が多いなど、ネットでのつながりがない関係性の場合は引き続き送っていますが、それも減っています。
最後に、これらを全部採用したとしたら、あなたの手元に残るお金はどのくらい増えるでしょうか。
上述したものは多くの人にとって生涯かかってくる費用ですから、たとえば自分がいま40歳であれば、あと50年近く払い続けるわけです。
もし月1万円でも削減することができたとすると、年間12万円、50年で600万円ですから、その累積効果は非常に大きい。その出費に見合ったメリットが享受できるのならともかく、見直してみる価値はあると思います。
———-午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。
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(米国公認会計士 午堂 登紀雄 写真=iStock.com)