コロナ禍でブームの「唐揚げ店」、倒産が過去最多に 「原価高騰」で強み生かせず…持ち帰り需要も“一服感”? 帝国データバンク調査

帝国データバンク(東京都港区)が、「唐揚げ店」の倒産発生状況について調査・分析を実施。その結果を発表しました。

■B級グルメゆえに「大幅値上げは難しい」?

 同調査の集計期間は2023年6月30日まで。負債1000万円以上、法的整理による倒産を対象としています。

 唐揚げ店はコロナ禍で瞬く間にブームとなりましたが、同社によると、持ち帰りを中心とした唐揚げ店の運営企業の倒産は、2023年1〜6月に9件が判明。これまで最多だった2021年の6件を上回り、過去最多を更新したということです。ただ、唐揚げ店の多くは1~2店を展開する小規模な事業者であることから、同社は「水面下の廃業や閉店を含めれば、実際はより多くの唐揚げ店が淘汰(とうた)されたとみられる」と分析しています。

 そもそも唐揚げ店には、コロナ禍で急拡大した「中食」需要の中で、冷めても味が落ちにくく、自宅での調理が敬遠されがちな唐揚げが、手軽な持ち帰り総菜として人気を集めた背景があります。店舗側でも、少ない店舗面積など初期投資が低く、オペレーションが容易で、原料も安価な鶏肉であることから新たな飲食ビジネスとして唐揚げに注目する企業が増え、「ここ数年で爆発的に店舗が増加」しました。

 一方、近頃は急激な出店が続いたことで、都市部を中心に競争が激化し、大手では出店ペースを抑制するなど、市場は徐々にレッドオーシャン化が進行。また、同社は「外出制限が緩和されたことで持ち帰り需要も一服感が出てきた他、輸入鶏肉や食用油など原材料価格も急騰」したとし、「強みだった『原価の安さ』が生かせず、仕入原価の上昇に耐え切れずに経営破綻したケースも見られた」と分析。さらに、唐揚げ価格も引き上げが続くものの、B級グルメゆえに「大幅値上げは難しい」といった声も聞かれるといい、経営の舵取りが次第に難しくなっているようです。

 同社は「足元では安価なムネ肉を使った唐揚げや、素材や作り方にこだわった唐揚げなど、差別化戦略が進んでいる」としつつ、「都市部に比べて相対的に店舗数が少ない地方などでは市場拡大の余地も残るものの、消費者の胃袋をつかめなくなった唐揚げ店で今後淘汰が進む可能性がある」とコメントを寄せています。

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