コロナ禍で寸断されたサプライチェーンの「脱中国」が加速

【コロナショックが招く連鎖不況】

 新型コロナはサプライチェーン(供給網)を寸断した。自動車や電機、医療、生活雑貨……その影響は計り知れない。

「自動車部品の供給がストップしたことで、世界中の完成車メーカーの工場は稼働できなくなりました。SUBARUは今月9日から5月1日まで、主力の群馬工場を操業停止にしています」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 パソコンも部品調達が追い付いていない。新製品の発売延期や、売り切れのモデルが続出している。

「テレワークを強いられていますが、自宅のパソコンの調子がおかしくて仕事がスムーズに進みません。仕方なく新しいパソコンを買おうとしたら商品が届くまで1カ月かかるといわれました。お手上げです」(神奈川県に住む50代サラリーマン)

 メーカーやスペックにこだわらなければ、すぐにでも購入可能だが、パソコンは安くない。気に入ったモノが手に入らない苛立ちが募るという。

「コロナショックをきっかけにサプライチェーンの再構築が始まろうとしています。特定の国に依存し過ぎたデメリットが一段と顕在化したのです」(清水秀和氏)

 具体的には「脱中国」の加速だ。自動車部品をはじめ、パソコンやAV製品、家電、マスクなど中国依存度の高い製品を列挙したらキリがない。

「ビニール傘やわりばしといった生活雑貨も中国産であふれています。100円ショップだって、ほぼ半数は中国でつくられているでしょう。食料関連も中国産だらけです。コロナ禍で穀物など食料の輸出禁止に動きだそうとする国も出てきました。脱中国を早急に進めないと、日本経済はにっちもさっちもいかなくなります」(市場関係者)

■緊急経済対策で2486億円を計上

 政府の緊急経済対策には「サプライチェーン改革」が盛り込まれている。「特定国に依存する製品・部素材」の生産拠点を国内回帰させるため2486億円を計上した。

「特定国は中国と置き換えられる」(前出の市場関係者)。マスクなどの衛生製品や医療機器、レアメタルなどを「複線化国の工場」で製造する目標を掲げた。

 大手企業の下方修正も相次ぐ。中国に740以上の店舗(ユニクロ)があるファーストリテイリングは今期(2020年8月期)の売上高予想を2500億円引き下げた。ビックカメラは同じく1000億円の下方修正に踏み切った。東京商工リサーチによると、売上高の下方修正(上場企業対象=4月9日時点)は1兆7200億円に達する。

 脱中国は工場移転などを伴うケースも多々あり、コストは膨大になる。コロナ不況は深度を増すばかりだ。

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