【ニューヨーク時事】米バイオ医薬品企業アテア・ファーマシューティカルズは19日、スイス製薬大手ロシュと共同で開発している新型コロナウイルス感染症の経口治療薬「AT―527」について、中期段階の臨床試験(治験)で期待通りの有効性を確認できなかったと発表した。
この飲み薬は中外製薬が日本での導入を目指している。
開発競争で先行する米製薬大手メルクにアテアが大きく後れを取るのは必至。アテアの株価は19日のニューヨーク株式市場で暴落し、前日終値比で一時約70%安となった。
治験では、重症化リスクが低い軽・中等症のコロナ患者らを中心に経口薬の有効性を調べたが、体内のウイルスを減少させる明確な効果は見られなかった。基礎疾患があり、重症化リスクの高い患者らには一定の効き目があったという。
アテアはこれを受け、後期治験の見直しを検討。治験の最終結果が公表されるのは、当初予定の年内から来年後半にずれ込む見通しだ。