コンビニ、被災地で出店加速 ファミマは当初の5倍

 コンビニエンスストア各社が、東日本大震災の被災地で新規出店を加速している。地元商店街などの復旧が進まない地域や、店舗が近くにない仮設住宅の住民らの生活インフラとしてニーズが高まっているためだ。震災直後に食料品や生活必需品をいち早く供給し、生活復旧に貢献したのに続き、復興に向けても、その存在感を増している。
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記事本文の続き ファミリーマートは、被災3県での新規出店を震災前の当初計画の5倍にあたる85店に増やす。6月26日には、福島県川俣町に震災後初の直営店をオープンした。秋以降に出店を本格化し、被災地での店舗網を再構築する考えで、上田準二社長は「内部留保をはき出してでもやる」と、意欲をみせる。
 ミニストップは、東北での新規出店を従来計画の約3倍にあたる「3年で100店」に引き上げた。
 セブン-イレブン・ジャパンは4月から被災地に移動販売車を投入。被災者の買い物支援と同時に、新規出店に向けた市場調査を進めている。今月6日には、宮城県南三陸町に仮設店舗をオープンしたが、移動販売車の売り上げが、他の地域よりも多かったことが、出店の決め手になった。
 ローソンは、東北地方で従来計画の出店に仮設店舗を上積みする。すでに5店舗を出店し、いずれも売り上げは平均店舗の1・5倍と好調で、「可能な限り出店を考える」としている。
 被災地では、仮設住宅という新たな商圏ができたほか、復旧に従事する作業員やボランティアらの需要も生まれており、「周辺に競合店舗も少なく、出店余地が増した」(SMBC日興証券の川原潤シニアアナリスト)という。
 ただ、課題もある。被害の大きな地域では今後の復興計画が決まるまで、建築制限が適用されており、自由に出店できない。特例となる仮設店舗も、「自治体が住民の意向を優先するため、コミュニティーが機能していない仮設住宅では許可が下りにくい」(大手コンビニ)という。このため、コンビニ各社では、地域密着でニーズをくみ上げながら、出店場所を探していく考えだ。

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