コンビニ「一人勝ち」セブンも、大型ドラッグストアに殺される日

コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回の「セブンイレブンの新サービス・ネットコンビニ」に続き、今回取り上げるのは直近の3大チェーンの既存店売上と、それらを脅かす存在について。コンビニ業界内で着々と王座の地位を築き上げているセブンイレブンですが、異業種である大手ドラッグストアの伸びが著しく、コンビニと売上を食い合っている状況にあると日比谷さんは語ります。

「一人勝ち」が続くセブンイレブンが、安閑としていられないワケ

3月、4月の2ヶ月が経過し、コンビニ3大チェーンの既存店売上数値が出揃ったが、以下の通りセブンイレブンの一人勝ち状態がさらに続く結果となった。売上が2ヶ月連続で前年比を上回っているのはセブンイレブンだけである。

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いっぽう、ローソンは2か月連続で既存店前年割れで、ファミリーマートも4月は前年割れとなった。客数の減少とは、要するに他社に客を取られているということで、各店舗の基礎体力を削り落としていく大きな問題となる。

では、この2チェーンはどこに客を取られているのかということで、同業他社のセブンイレブンの好調以上に影響が大きいと考えられるのが、昨今のドラッグストアの急成長だ。しかも、客を奪われているのはコンビニだけではなく、大型スーパーのイオンなども大きな打撃を受けているようだ。では、なぜコンビニやスーパーは大手ドラッグストアに客を奪われてしまったのか?

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ドラッグストアが近年好業績を残している要因は、ズバリ「食品の強化」。要するに安い食品で多くのお客さんを集め、高利益の薬品で儲けるというビジネスモデルだ。某大手ドラッグストアのなかには、「食品は赤字でいい。集客の道具だ」と言い切る幹部社員もいるほどだ。

そんなドラッグストアだが、基本的な店舗つくり(レイアウト)は以下のようになっている。

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お客さんが店に入ると、最初に広がるのがドラッグ・美容用品コーナー。集客のエンジンとなっている食品類は、店舗の奥のほうに展開されているので、入店したお客さんの大半はこのコーナーを通り抜けることとなる。店舗側としてはここで何か1品でも買って貰えればと、様々なきっかけを仕掛けていくのだ。

コンビニの新規開拓層を奪うドラッグストア

従来のコンビニのビジネスモデルは「個人消費」「即食」「高荒利」がベースだった。しかし、ここ数年は生鮮スーパーが強かった「シニア」「ファミリー(主婦)」といった新規客獲得を進め、それまで常識とされていた「コンビニ5万店限界論」をぶち破った。

セブンイレブンが一人勝ちしている理由は、従来のコンビニの形態をうまくアレンジすることで、このシニア・ファミリー層に他のチェーンより浸透することができた点が大きい。

ところが、そんなコンビニが新たに獲得した客層を、食品類を強化しているドラッグストアがどんどん奪っている状況だ。ローソン・ファミリーマートの不調は、このことも原因のひとつとなっていると言えるだろう。

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